授業終わり。
ざわざわした教室。
椅子の音、話し声、足音。
みんな帰る準備をしてるのに。
動けない。
さっきの言葉が頭の中でずっと反響してる。
「変わらんままの方が、もっと嫌かもしれん」
心臓がうるさい。
ノートを閉じる。
ペンをしまう。
ゆっくり立つ。
その瞬間。
袖が軽く引かれる。
振り向く。
らぴすくん。
らぴす「ちょっと待って」
小さな声。
でも逃げられない声。
人が減っていく教室。
空気が静かになる。
近い。
距離が、昨日よりも、さっきよりも、近い。
らぴす「昨日からずっと思ってた」
心臓が跳ねる。
らぴす「避けられてる気して、ちょっと焦った」
目が逸らせない。
らぴす「動画のこと知って、納得したけど」
一歩近づく。
逃げ場がなくなる。
らぴす「それでも距離取られるの、普通に嫌やった」
胸がぎゅっとなる。
こんな言い方、ずるい。
こんな声、ずるい。
らぴす「俺、今めっちゃ変なこと言ってる?」
「…言ってる」
声が小さい。
らぴす「やんな」
少し笑う。
でも目は真剣。
静かな教室。
夕方の光。
誰もいない後ろの席。
らぴす「なぁ」
低い声。
らぴす「逃げんといて」
息が止まる。
心臓が、近い。
距離が、触れそう。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。