震える手を太ももに押し付けて
声にまで震えが伝わってしまわないように
息を深く吸う 。
葛葉が息を呑んだのがわかって
思わず浴びせられるであろう罵倒に
備えて目を伏せた 。
それでも待っていた罵倒は飛んでこない 。
それが続きを催促しているんだと気づいて
少しだけ信用できる気がした 。
難産だった 、そう付け加えて
葛葉に弱々しく笑いかけた 。
その笑みにはどんな反応をするのか
期待の気持ちも滲んでいた 。
どうやら他とは違うようだ 。
大したことじゃない 、というように
両手を上げた私に 、葛葉は唇を噛む 。
なぜ葛葉が悔しそうなのかがわからず 、
私は首を傾げる 。
次の瞬間 、爆発した葛葉に
驚いて言葉を失う私 。
葛葉は額に手を当てて 、
ガゼボを出ようとする 。
その言葉にピタリと止まった葛葉は
私を振り返った 。
その言葉を聞いて 、再度背中を
向けた葛葉に満足していた私の背後に
誰かが近寄った 。
席を立つ私の横でため息を付く
ローレンはつまらなそうな顔をしていて 、
なんだか笑ってしまった 。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。