第17話

私と依桜
912
2018/08/21 11:48
 久々の私と依桜の寄り道。
 依桜が大貴と付き合ってから寄り道は初。
 だから私は依桜に対してイライラが止まらない。
咲坂 依桜
咲坂 依桜
この前のデートなんかね~…

なに、大貴、依桜とデートなんか行ったの?
 なんも聞いてないんですけど。
咲坂 依桜
咲坂 依桜
雨の日は有岡くんの傘入って~…

依桜置き傘あったじゃん。
 なにちゃっかり大貴の入ってんのさ。
咲坂 依桜
咲坂 依桜
_____……あなた ?
あなた

……なに

咲坂 依桜
咲坂 依桜
なんか顔怒ってるけど……ッ
あなた

べつに

咲坂 依桜
咲坂 依桜
それあなた怒ってるよ、?
あなた

……うるさいよ

咲坂 依桜
咲坂 依桜
具合悪いなら私が______
あなた

大貴と別れてよっ……!!!

咲坂 依桜
咲坂 依桜
…………え、?
あなた

なんでもない、帰る

咲坂 依桜
咲坂 依桜
ちょ……ッ !
 私依桜になんてこと言ってんの。
 依桜には1番バレちゃいけなかったはずなのに。
 もう取り返しつかないじゃん。
 あーあ、私たちが友達続けられるなんて綺麗事だったんだね。
 もう無理だ。















ポツ……ポツ













あーあ、こういう時に限って雨。
 もう嫌だ。

家に帰るのも嫌になり、小さい頃、涼介と大貴とよく遊んだ公園のベンチに腰掛ける。
 この頃は幸せだったな、なんて思ったりもして。
 そしたら自然に涙まで溢れてきて。
 止まれ、止まれと思うが、涙は一向に止まらない。
 むしろ、どんどん溢れてくるばかり。
 服もずぶ濡れだけど、頬までもずぶ濡れ。





このままいっそ、家に帰らなくても______















 その時、雨が止んだ。












あなた

……ぇ?

山田涼介
山田涼介
ばか、お前ここで何してんの


顔を上げると1本の傘。



雨は止んでいなくて、私が濡れなかったのは、涼介の傘のお陰だった。


あなた

な、んで……

山田涼介
山田涼介
通りかかったらあなただった


すると涼介は、私の頬が濡れているのは雨ではなく、涙だと気づいたらしい。


山田涼介
山田涼介
あなた、なんで泣いてんの?


私の頬に流れていた涙を、涼介は優しく掬ってくれた。

あなた

涼介……帰っていいよ。
風邪ひいちゃう

山田涼介
山田涼介
ここであなたを1人にした方が風邪ひくだろ
あなた

……そう、だけど……

山田涼介
山田涼介
答えになってないよ、あなた


なんで、優しくなるの?
無愛想な時はほんとに無愛想なくせに、私が弱い時には本当に優しくしてくれる。

山田涼介
山田涼介
とりあえず、俺ん家おいで。
あなた

…………ぅん

山田涼介
山田涼介
ってあなた……!
あなた

ふぇ?

山田涼介
山田涼介
とっ、とりあえず、俺のパーカー着て!!
あなた

え、え?

 いきなり慌てだした涼介。
 一体何事?
 ……と思ったら、私の制服のシャツが雨に濡れてスッケスケ。
 下着もシャツに張り付いて丸見えになっていた。
あなた

ひゃぁっ……!

山田涼介
山田涼介
いや、その……見てない!からっ……!
 

耳まで真っ赤にして目を逸らす涼介。
 私は慌てて涼介の貸してくれたパーカーを着る。
山田涼介
山田涼介
あなた着た?/
あなた

うっ、うん、……//

 視線を私に戻す涼介。
 なんだか涼介らしくないなぁ、なんて。
 でも私も相当恥ずかしかった………………



山田涼介
山田涼介
はい、傘入って

何事も無かったかのように接する涼介。
 最大の照れ隠しなんだろうなぁ笑


















やっぱり涼介といると笑顔になれる。

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