第10話

Ⅱ 不安な言葉と凛
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2025/08/01 00:00 更新
『優しい言葉と兄ちゃん』のⅡ作品(スピンオフ)

冴凛 自傷行為

⚠リスカ直接表現 有
俺は、凛を置いてランニングに行っていた
数時間走った後のんびりと家に帰った

冴の家にて


糸師 冴
『凛〜』

名前を呼んだらいつも来るはずの凛が来なかった

糸師 冴
『行く前は、起きてたけどなぁ…
無視か?』

そう思いつつ、凛の部屋のドアノブを捻る

糸師 冴
『実の兄ちゃんの「お帰り」も無いんだな』

珍しく凛が地べたに座って何かをしている感じだった

糸師 凛
『に、兄ちゃん帰ってきてたんだ』

糸師 冴
『何して、』

凛の部屋に数歩だけ入るとドス黒い血痕と鉄ぽい匂いが広がっていた

糸師 凛
『あ、これは…』

糸師 冴
『いつからだ?』

リスカのし過ぎでこんな事になったとすぐに理解して
いつからやっているのか聞いた

糸師 凛
『、…兄ちゃんに、捨てられた…時から。』

こんなにボロボロな凛を見るのが初めてだった
すぐにも消えてしまいそうな凛を落ち着かせる為に、
凛の傍まで歩いて横から抱きしめて顔をあまり見ないようにと
胸に押し付けて頭を撫でた

糸師 冴
『ずっとごめんな』

糸師 凛
『え、…?』

糸師 冴
『ずっと辛くてやったんだろ?
気付けなくてごめん』

抱きしめる前から静かに涙を流していた凛を慰めるように
多少落ち着くまでずっと頭を撫でて、抱きしめていた
一旦部屋を移動してケアをしようと思って「泣いてる最中悪いんだが、一回立てるか?」と聞いた

糸師 凛
『…』

凛の無言は、良いって事がこの数ヶ月で分かったが念の為な「無言は、良いって事な」と確認して
凛の体に回していた腕を解き、手を差し伸べた

糸師 凛
『、?』

糸師 冴
『お前、多分貧血だからエスコートだ』

糸師 凛
『ん、』

凛は、俺の手を取ってゆっくりと立ち上がった

糸師 凛
『あぇ”、?』

その瞬間グラッとしたのか俺に向かって倒れてきた

糸師 冴
『あっぶね、今の状態なら歩けそうに無いな
姫抱きで運ぶけど文句言うなよ』

糸師 凛
うん…

相当だなと思いつつ、慎重に凛を俺の部屋に運んだ

冴の部屋にて


俺の部屋に入ると凛が口を開いた

糸師 凛
『兄ちゃん、もう降ろして大丈夫』

糸師 冴
『ん、』

普通ならベッドに下ろすが、あえて床に降ろした

糸師 凛
『なんで床、?』

凛が質問してきても無視してベッドに座った

糸師 冴
『凛、来い』

糸師 凛
『あ、うん』

凛は、無自覚だが小さい頃から向かい合ってハグすると精神が安定しやすい

糸師 凛
『もう1回泣いて良い?』

糸師 冴
『気が済むまで泣け』

今日は、甘えさせてケアを沢山する

糸師 冴
『あの時捨ててごめんな』

糸師 凛
『ん、…』

糸師 冴
『ずっと我慢して、誰にも吐き出せなくて、耐えてて辛かったよな』

俺がそう言うと凛が俺の肩に頭を押し付けて泣いた

糸師 凛
『あぁ、…にちゃ、』

糸師 冴
『なんだ、凛』

糸師 凛
『しばらく隣にいてよ…』

糸師 冴
『ずっと一緒だ』
糸師 凛
『…落ち着いた』

糸師 冴
『寝るか?』

凛は、「後処理してない」と言った為、
「なら一緒にやるか」と、遠回しにサポートした
糸師 凛
『兄ちゃん、』

糸師 冴
『何だ?』

糸師 凛
『俺のこと、捨てないの?』

何を聞いてくるかと思ったら当たり前のことを聞いてきて驚いたが、冷静に返して傷の確認をしようとした

糸師 凛
『それなら包帯・アルコール・ガーゼ取ってきてくんない?』

糸師 冴
『ほんと、プライバシーの欠片も無いな』

糸師 凛
『今回の事以外隠し事ないだけ』

兄弟、恋人だとしても一つ以上は、隠し事があると思いながら自分の部屋を出た

凛の部屋にて


本当に隠し事がないのか分からないが凛の部屋に入ってアルコール・ガーゼを探す

糸師 冴
『どんだけやったら、床に滴れるんだ…』

探すのに時間は、かからなかった

糸師 冴
『いつでも手当出来るように、わかりやすいとこに置いてあんな』

俺は、今の凛を一人にしてしまうことに抵抗がありすぐに戻った

冴の部屋にて


俺の部屋に入ると凛が包帯を解いて腕と睨み合っていた

糸師 冴
『止血出来てるか?』

糸師 凛
『若干出来てない』

俺は、遠慮なく凛の隣に座って傷を確認する

糸師 冴
『グロ、どんな風に隠してたんだよ』

糸師 凛
『全体的にファンデやって、やばいところはコンシーラーで
カバーしてから上からパウダーやって化粧落とし以外で
落ちないようなやつ使ってた』

糸師 冴
『ちょっと、お兄ちゃん全然頭に入ってこなかった』

俺は、実際に全然頭に入ってこなかった

糸師 凛
『隠すのにお金かけただけだよ』

お金をかけてまで隠したい事だったのかと、この時に確信した

糸師 冴
『今後隠すなよ』

糸師 凛
『なら、もうやらないような対策を考えてよ
毎回いつの間にか意識も理性も飛んでるから制御出来ない』

糸師 冴
『毎回意識も理性も飛ばしてる?!
んで、そこまでやるんだよ!』

「毎回」という言葉に反応してつい、
大きな声を出してしまった
それから何回も同じ説明をされ、やっと理解できた

糸師 冴
『なるほどな』

糸師 凛
『兄ちゃんも理解するのに時間がかかる時あるんだね』

ずっと、説明に集中していたせいで凛の手当が遅れてしまった

糸師 冴
『で、手当しないのか?』

糸師 凛
『するに決まってんだろ』

凛がそう言うと、俺は、持っていた物をあげた
が、凛の手当を「なんとなくやりたい」と思った

糸師 冴
『…、俺がしていいか?』

糸師 凛
『は?』

糸師 冴
『なんとなくやりたいと思っただけだ』

理由を言うと少し黙り込んだ

糸師 凛
『…兄ちゃんならいいよ』

許可が貰えた為、凛が持っていた物を取り
ガーゼをアルコールに染み込ませてから凛の腕を軽く拭いた

糸師 冴
『痛くないか?』

糸師 凛
『慣れたから』

この腕にどれだけの気持ちをぶつけて抑え込んでいたのだろう
何年の前の痕が拭くことで強調した

糸師 冴
『これからもっと自分を大切にしろよ?』

糸師 凛
『はいはい』

糸師 冴
『怒りは、しないがこんな事もうしないでくれ…』

凛にそう伝えながら優しくと包帯を巻いていく

糸師 凛
『もうしねぇよ、多分』

糸師 冴
『そうか、なら良かった』

糸師 凛
『手当早いな』

糸師 冴
『基礎的な手当は、スピードが重視されてるから勝手に早くなっただけだ』

糸師 凛
『あ”ー、疲れた』

凛は、呟いて俺のベッドに倒れ込んだ

糸師 冴
『寝るか?』

糸師 凛
『ん”ー、兄ちゃんも寝る?』

糸師 冴
『俺が寝なかったら寝ないつもりだろ』

糸師 凛
『バレてる…、』

糸師 冴
『一緒に寝てやる
ほらこっち来い』

凛をいつも以上に甘やかそうと思い、一緒に寝ることにした

糸師 凛
『ん、』

糸師 冴
『腕枕してやるからもっと俺側に来い』

糸師 凛
『腕枕じゃなくて、ハグして』

糸師 冴
『ま、どっちでもいい』

凛からの要望は、珍しいと思いつつ凛を俺の方に寄せて
「正面とバックどっちがいい」か聞いた

糸師 凛
『正面』

糸師 冴
『大丈夫だ、もう1人じゃないからな』

糸師 凛
『うん、』

糸師 冴
『ずっと隣にいる
安心して眠れ』

糸師 凛
『わかった』

凛が安心出来るように優しい言葉をかけながらハグをすると落ち着いたのかすぐに眠りについた

糸師 冴
『寝たか』

俺は、凛が寝たのを確認して凛の左腕を見る

糸師 冴
『ほんと、心配させやがって…
もっと遅かったら危なかっただろうな。』

凛の左腕を手に取り、キスマを付けた

糸師 冴
『ん、うまく付いたな』

もう一回凛を抱き直して俺も眠りについた

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