大学生の春 。
新学期が始まって 、
キャンパスはやたら明るい 。
新入生っぽい子たちが
キョロキョロしてて 、
サークルのビラが風に揺れてる 。
桜はもうほとんど散ってるのに
空気だけは春のまま 。
講義中なのに窓の外を眺めて
ぼーっとしてる 。
先生が話し始めたところで 、
ノートに目を移した 。
書いた文字が少しだけ滲んだ 。
あれ 、と目を擦る 。
ホワイトボードの字が二重に見える 。
瞬きしたら戻った 。
寝不足かな 。
昨日ちょっと遅くまで動画を見てたし 、
多分それだと思う 。
講義が終わり 、
生徒たちがぞろぞろと
教室から居なくなっていく 。
私も 、と立ち上がった瞬間
視界がふわっと揺れた 。
でもすぐ治った 。
大丈夫か 。
外でご飯を食べるために 、
5人でいつもの場所に向かう 。
この学校には外に
休憩スペースみたいな所があって 、
そこで昼食を取る学生も多い 。
右にマナ 、左にウェン 、
向かいにリトとイッテツという形で座る 。
講義の話とか先生の悪口とか
談笑してたらリトが
いつもより低い声で言った 。
ポケットからスマホを取りだし 、
カメラを開く 。
インカメで自分の顔を見つめる 。
たしかに 、いつもより
血色がない気がする 。
透明感 というより
少し色が抜けている感じ 。
まぁ気のせいでしょ 、
と笑って誤魔化す 。
リトが真顔のまま言う 。
イッテツがテーブルに手を置き 、
身を乗り出して
じっと私の顔を覗き込む 。
そう言いながらも 、
冷たくて握ったままの
指先は中々温まらない 。
マナが軽く肩をすくめる 。
マナも目が笑ってない 。
ウェンは私たち4人を横目に
スマホで何かを調べてる 。
なんとなく立ち上がった瞬間 、
視界がグラっと揺れた 。
地面が少し遠くなる 。
声が漏れる 。
次の瞬間 、
誰かによって支えられた 。
お陰で倒れずに済んだ 。
マナとウェンが私を両サイドから支えてた 。
言われるがままに座ると 、
風邪が止んだみたいに
周りの音が遠くなる 。
落ちた桜が風によって飛ばされる 。
飛ばされる はずなのに 。
一瞬だけ止まって見えた 。
自分でもよく分からない言い方 。
曖昧な言い方で 、
曖昧に笑う 。
即決するリトに
大丈夫だから 、と否定する 。
それでも立つリトを止めようと
私も立ち上がろうとして 、
また足が力を失う 。
また2人に支えられた 。
マナが小さく言う 。
マナに言われ 、
4人の顔を見渡す 。
多分ここで私がどれだけ否定しても
納得してくれないと思う 。
講義は午前までしかなかったため 、
学校を出たあと5人で病院に向かう 。
小さい子供からお年寄りまで 、
少し混んでいる感じだった 。
問診票に丸をつける 。
自分の症状を確認するために 、
4人に言われたことを思い出す 。
私の隣に座っていたイッテツが
中々埋まらない問診票を覗き込む 。
椅子の背にもたれながら 、
マナがこっちを見てる 。
とりあえず心当たりのある症状と
言われた症状を書いた 。
問診票を出しす 。
数十分後 、ようやく名前を呼ばれた 。
看護師に体温と血圧を測られる 。
腕を差し出す 。
針が入る瞬間の痛み 。
注射嫌いな私にとって 、
今でも慣れないもの 。
一旦 今日の検査が終わった 。
そう言った看護師さんの声は遠かった 。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。