第3話

episode . 1
7
2026/03/02 08:00 更新





 大学生の春 。


 新学期が始まって 、
 キャンパスはやたら明るい 。


 新入生っぽい子たちが
 キョロキョロしてて 、
 サークルのビラが風に揺れてる 。


 桜はもうほとんど散ってるのに
 空気だけは春のまま 。


 講義中なのに窓の外を眺めて
 ぼーっとしてる 。


 先生が話し始めたところで 、
 ノートに目を移した 。


 書いた文字が少しだけ滲んだ 。


 あれ 、と目を擦る 。


 ホワイトボードの字が二重に見える 。


 瞬きしたら戻った 。


 寝不足かな 。


 昨日ちょっと遅くまで動画を見てたし 、
 多分それだと思う 。


 講義が終わり 、
 生徒たちがぞろぞろと
 教室から居なくなっていく 。


 私も 、と立ち上がった瞬間
 視界がふわっと揺れた 。


 でもすぐ治った 。
 大丈夫か 。


 外でご飯を食べるために 、
 5人でいつもの場所に向かう 。


 この学校には外に
 休憩スペースみたいな所があって 、
 そこで昼食を取る学生も多い 。




usm
 … おい 





 右にマナ 、左にウェン 、
 向かいにリトとイッテツという形で座る 。


 講義の話とか先生の悪口とか
 談笑してたらリトが
 いつもより低い声で言った 。



usm
 … 顔色悪くない ? 
あなた
 え 、そう ? 
usm
 なんか今日 、白い 





 ポケットからスマホを取りだし 、
 カメラを開く 。


 インカメで自分の顔を見つめる 。


 たしかに 、いつもより
 血色がない気がする 。


 透明感 というより
 少し色が抜けている感じ 。




あなた
 光のせいじゃない ? 





 まぁ気のせいでしょ 、
 と笑って誤魔化す 。




usm
 いや 、そういう白さじゃない 





 リトが真顔のまま言う 。


 イッテツがテーブルに手を置き 、
 身を乗り出して
 じっと私の顔を覗き込む 。




sik
 唇の色も薄い気が … 
あなた
 メイクが薄めなだけだって 





 そう言いながらも 、
 冷たくて握ったままの
 指先は中々温まらない 。


 マナが軽く肩をすくめる 。




hbt
 いや 、それ普通にあかん白さや 





 マナも目が笑ってない 。


 ウェンは私たち4人を横目に
 スマホで何かを調べてる 。




akg
 最近ちゃんと寝てる ? 
あなた
 寝てるよ 





 なんとなく立ち上がった瞬間 、
 視界がグラっと揺れた 。


 地面が少し遠くなる 。




あなた
 あ 





 声が漏れる 。


 次の瞬間 、
 誰かによって支えられた 。


 お陰で倒れずに済んだ 。




akg
 ちょっと座って 





 マナとウェンが私を両サイドから支えてた 。


 言われるがままに座ると 、
 風邪が止んだみたいに
 周りの音が遠くなる 。


 落ちた桜が風によって飛ばされる 。
 飛ばされる はずなのに 。


 一瞬だけ止まって見えた 。




あなた
 … 今変だった 





 自分でもよく分からない言い方 。




sik
 変って ? 
あなた
 なんかふわってした 





 曖昧な言い方で 、
 曖昧に笑う 。




usm
 病院に行くぞ 
あなた
 大袈裟だよ 





 即決するリトに
 大丈夫だから 、と否定する 。


 それでも立つリトを止めようと
 私も立ち上がろうとして 、
 また足が力を失う 。


 また2人に支えられた 。




hbt
 大袈裟ちゃう 





 マナが小さく言う 。




hbt
 ちゃんと診てもらった方がいい 





 マナに言われ 、
 4人の顔を見渡す 。


 多分ここで私がどれだけ否定しても
 納得してくれないと思う 。




あなた
 わかった 、行くだけね 





 講義は午前までしかなかったため 、
 学校を出たあと5人で病院に向かう 。


 小さい子供からお年寄りまで 、
 少し混んでいる感じだった 。


 問診票に丸をつける 。
 自分の症状を確認するために 、
 4人に言われたことを思い出す 。




あなた
( 顔色悪い … 、白い … 、 
  目眩 … ? )
sik
 全部書け 





 私の隣に座っていたイッテツが
 中々埋まらない問診票を覗き込む 。




あなた
 だから大丈夫だってば 
hbt
 大丈夫な人の顔ちゃうやろ 




 椅子の背にもたれながら 、
 マナがこっちを見てる 。


 とりあえず心当たりのある症状と
 言われた症状を書いた 。


 問診票を出しす 。


 数十分後 、ようやく名前を呼ばれた 。


 看護師に体温と血圧を測られる 。




看護師
 少し低めですね 
看護師
 血液検査 、しておきましょうか 





 腕を差し出す 。


 針が入る瞬間の痛み 。
 注射嫌いな私にとって 、
 今でも慣れないもの 。


 一旦 今日の検査が終わった 。




看護師
 結果は来週辺りになります 





 そう言った看護師さんの声は遠かった 。










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