引っ越しの挨拶の時初めて出会って一目惚れしたあの子が
少し遠くの公園で泣いてるところ見つけた。
そう言いながら私は手を差し伸べた
そうすると恐る恐るだが彼は握り返してくれた。
その手の小ささ。冷たさ。震えてた指。
全部が、私の心をぐしゃぐしゃにして初めて________
それが「恋」なのか「執着」なのか、わかんない。
わかんないけど、あのとき、私は決めたんだ。
この子を、一生見てる。
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そして獪岳くんを家に送り届けた際に獪岳のお母さんと仲良くなった
その子のお母さんは穏やかな人ですぐ仲良くなることができた。
私とお母さんが話している間獪岳くんは積み木で遊んでた。
お母さんに聞いたほっぺぷにぷにしてて、でも不機嫌なの。
おもちゃ投げたり、すぐ泣いたり、でも夜は怖くて親の布団に潜り込むんだって。
そのエピ聞いたとき、私、地球から3回転くらいした。
あのとき私、16歳だった。
合法的にギリギリ姉的ポジション狙えそうな距離感。
でも……その距離感のせいで、彼は私のこと、ただの隣のお姉さんってしか思ってない。
…だから。
おもちゃ、投げて壊れたやつ。夜に落とした靴。
雨の日に脱ぎっぱなしだった傘。
全部、私の部屋にある。
私の宝物。
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月日が経ち獪岳くんはランドセルを背負ってやってきた。
その姿はほんとに愛らしくてほんとやばかった
受験であまり会えず久しぶりに見た獪岳くんは見事に背伸びして大人ぶってた
そう言って満足げな顔をする獪岳くんは本当に可愛らしかった。
家に帰ってからでもカーテンの隙間から見てるだけで、心がトロけそうになる……
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獪岳くんが大人になりあまり関われなくなってしまったが
ずっと見ていた中学生の彼は_________
誰とも群れない、誰にも笑わない、怒った顔がデフォルト!!
でも私だけは知ってるの。
放課後、公園のブランコに一人で座ってる獪岳くん。
アイスの当たり棒を握りしめてるのに、無表情でゴミ箱に捨てるの。
その棒、今うちの机の引き出しにあるんだけど、私……そろそろ自分が怖い。
でもさ!!いいの!!!
中学生獪岳くん、制服の丈がちょっと短くて、裾から見える手首が……罪!!
しかも手に絆創膏つけてんの、なに!?死ぬ!!(私が)!!!!
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そして彼はあっという間に高校生になってしまった
あの頃、私は毎朝窓から獪岳くんが登校するのを眺めていた。
てかさ!?ランドセルからブレザーへ!?
この進化どう考えても伝説ポケモンじゃん!?!?!?!?
獪岳くんの制服の第二ボタン……ほしかったな……
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この頃彼が帰ってくるのは、いつも夜の9時を過ぎた頃。
濡れた髪から滴る水。バイト帰りなのか、疲れた足取り。
ふとした瞬間に見せる、不機嫌そうな顔と、
近所のガキが話しかけようもんなら「は?ウゼェんだよ」って睨む顔。
……でも。
でもでもでも!!!!!!!!!
その冷たい目の奥に、誰にも見せない弱さがあるって知ってる!!!!!!!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。