第7話

#.再就職?
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2025/09/14 07:12 更新






あれから、数週間。
獪岳は転職活動をしていた。

前職――社長がどこか“怖くて優しすぎる”会社を辞めてから、
どこか落ち着かない日々が続いていた。

けれど、今回は違う。
条件も良く、成長企業で、業界でも話題。
面接までこぎつけたとき、

彼はふと思った。

獪岳
(ここなら……平気、だよな。さすがに、いないよな)


彼女の影を振り払うように、ビルのドアを開いた。

???
では、面接室にお入りください。


案内された部屋。
そこにいたのは________仮面。

変声器から発せられる、低く加工された声。
髪も、服装も、性別も読めない。

不自然なくらい“人間らしさ”が抜けた存在。

???
稲玉 獪岳さんですよね
獪岳
……はい
獪岳
(なんだコイツ、社長……?)


不審な気配に全身が警戒モードになる。

けれど、質問内容は非常に的確。
業界の動向、個人の実績、性格テスト――全部がプロの域。

獪岳
( …すげぇ。けど、どこか…… )
???
ところで獪岳くん
この会社はもう怖くない?


一瞬、空気が止まった。

変声器ごしの声。
加工されているのに、どこか響く“懐かしさ”。

獪岳
( まさか…なんでここにいるんだよ…!? )
???
では入社後楽しみに待っています…♡

ビルの最上階――社長室。

鏡の前で仮面を外すのは、
そう、もちろん“ あなたの名字 あなた “


あなた
ふぅ……暑い、変声器……蒸れる……


汗ばんだ顔で、スーツを脱ぎ、首元をゆるめながら_______

あなた
最後の言葉がちょっと攻めすぎたよね〜…
あなた
勘のいいあの子ならもうきっと気づいているだろうし…


デスクには、獪岳の履歴書。
裏には、過去の小学校の成績表、筆跡、健康診断のコピー。

あなた
まぁ。そこが好きなんだけどっ!♡


笑う彼女の表情はどこか狂気に満ちていた______


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