第5話

ラジオ番組、再戦
6
2020/09/21 02:32
普段どおりの毎日を過ごす。
その間、彼はアリーナツアーの前で相変わらず既読スルーも多い。
もちろん、返事もこない。(笑)
また、ラジオ出るから、ネタになっていいなーと思っていた。

ちょうど会社が忙しさもひと段落。
のんびりとした日々を過ごしてるといよいよラジオの日。
今回は前もって連絡をもらってるので、色々とスタッフさんと打ち合わせが出来た(笑)

多分、今回も同じ展開に持ってくことになるかなと。
ただ、対戦相手も内容も違うようだ…。
私はラジオが始まってからラジオ局へ。

番組が始まり、ラジオを聴きながら出発する。
今日はリーダーと推し、彼、そしてもう一人いた。
彼は彼と同い年のイケメン、だけど私はあんまり興味がなかった。

珍しく四人。
いつもはグループのうちの二、三人が出るのに、理由がわからなかった。

ラジオが始まって、30分ほど経って到着する。
前回よりスムーズに入ることができた。
スタッフさんに迎えにきてもらい、誰にもバレずに別室へ。

「リーダーの炎の三番勝負、相手はこの同級生コンビです!」
リーダーのこの言葉で始まるはずだった。

「と聞いてましたね?リーダー。」
推しが間髪入れずに言う。
「はぁ?」
「今回は、対戦相手が違います。俺とあいつの対決が面白かったようで、再戦することになりました。」
「えっ?」
「リーダー、今回の戦う相手は俺たちとです。」
「僕は回しとして呼ばれました。リーダー、二週間前の時、帰りに連絡先交換してたよね?あいつの振られた相手と。」
「ごめん、俺見てた。」と推しがポツリと言う。
「まじで?」彼はびっくりしてる。
「うん、俺、車だったし。彼女、断りきれなかったみたいよ。」
「何も言ってなかったよ…。」
「ごめん。」
「ってことは三人対戦??」
「みたいだね。」
「お前も戦え!というわけで、三番勝負の初戦はおなじみ大喜利対決!」

口止めはされなかったけど、そういうことか…だから、途中からリーダー経由の連絡じゃなかったのかと合点がいく。

とうとう、二番勝負が終わり、間の別の人がやるコーナーを挟んで最終対決になる。

今回はプロポーズ対決になるらしい。
そして、最後に一人決める…か、どうかは任せてくれるようです。

スタッフさんに促され、こそっと前室に入る。
三人にはバレなかったようだ。
まぁ、リーダーは来るのを知ってるわけで。

まずは推しから。
さすが推し、照れながらいう姿を見て幸せすぎる…ニヤニヤしちゃった。
そして、内容がヤバい。
あいつの片想いは実らないらしいです(笑)

次はリーダー。
俺様なリーダーだけど、めちゃくちゃ優しいいい声で、これはファン得やなと思う。
これは高得点だろうね。


最後に彼。
「僕のそばにずっといてください。」
という珍しく直球で男らしい。

「それでは、対決の結果です。発表の前に。そういえば、お前、最近さ、この前振られた大切な人と連絡とってる?」
「何?」
「既読スルーされてて、心配してたぞ。」
「えっ?」
「この展開でわかるよね?お前、リベンジさせてあげよう。入ってきてください!」
「こんばんは。」と入っていく。

「あーーーっ、えっ!どういうこと??」
「というわけで、二週間前に振られた彼にリベンジのチャンス。来てくれてありがとうありがとうございます。」
「いえ、また呼ばれました。」
と中に入ると

「ちょっと、リーダー!」
「まぁ、そういうこと。呼んだのは俺です。連絡先交換したのは事実だよ。」
「どうして?」
「いや、お前のことだから、恋愛ポンコツやし。」
「えっ?えっ?」

「とりあえず、座って下さい。」
「はい。よろしくお願いします。」
「先々週、好評だったので来てもらいました。匿名希望さんです。」
「はい、匿名希望です。よろしくお願いします。」
「なんでーーー?」
「だから、呼んだのは俺。恋愛ポンコツにはもったいないから。」
「僕、前回こっぴどく振られたのに。」
「あれ、面白かったみたいで。今回はお前と戦って、告ってみようと思ってさ。」
「そしたら、まさかの三つ巴。」

「で、どうする?俺と付き合う?」
「いやいや、俺と。」
「もう嫌だ…僕以外とは付き合わないで。」

「どうしますか?匿名希望さん。」
「えっと…。」
「あっ、ここでコーナー挟んで、その後で発表します。」

で、別のコーナーに入る。
「来てくれてありがとう。」
「いえいえ。」
「ってか、何でリーダーと連絡先交換したの?」
「俺が強引にお願いした。」
「えっ?じゃあ、本当に?」
「俺、連絡先交換したのは少し強引だったかもやけど。まこちゃんのこと本当に狙うなら、高橋に頼んでセッティングしてもらうわ。」
「そっか。」
「お前、マジでまこちゃん大事なら、連絡くらいちゃんとしろよ。」
「はい、ごめんなさい。」
「お前が謝るのはあっち。」
と指差す先には、推しと楽しそうに話すまこ。
「まこちゃん、ごめんね。」
「いいよ、気にしないで。」

「まこちゃん、俺の隣あけとくから、いつでもおいでよ。」と間髪入れずに推しの一言が入る。
「嬉しい!」と二人で盛り上がってるところを見て、
「なんで、あいつに勝てないんだろう…。」と悩む彼。

そして、番組は最後のトークになる。
「で、どうします?匿名希望さん。」
「みんな冗談がすぎます。」
「ですよねー。」
「私は誰とも付き合う気ありません。」
「ということは、顔洗って出直してこいってことで。」
「はい。」
「では、CM挟んでエンディングです!」

少し重い空気が漂う。
「まこちゃん、帰りちょっと話せる?」
「大丈夫、少しなら。」
「既読スルー、怒ってる?」
「怒ってはないよ。」

「というわけで、あと少しで番組終わります。」
「結局、振られたなー。」
「空気が重いわ。」
「あいつはショックで何も喋らないし。これ、ラジオだぞ。」
「…。」
「あーあ、お前、同じ相手に二回も振られたな。」
「巻き添えくらったよ、俺、マジやったのに。」
「はぁ?」
「もうすぐ終わりです、また来週!」 

ラジオ、終わった。

終わってからも大変。
彼はべったりくっついて離れないし、推しとリーダーはからかうし、どうしていいかわからなかった。

「ねぇ、まこちゃん。」
「なんでくっついとるん?」
「もう誰にも邪魔させたくない。まこちゃんは僕だけ。」
「と言っても、番組ではまた撃沈やないの。」
「そうそう。俺、まこちゃんと付き合いたいのに。」
「嫌だーーー!」
「何、お前も本気なん?」
「えっ、リーダーも?」
「そうだよ。」
「ライバル、増えてる!絶対に嫌、まこちゃーん!」

「皆さん、お疲れ様でした。」とあくまで冷静にスタッフさんが来る。
「坂井さん、ありがとうございました。」
「とんでもないです。こちらこそありがとうございました。」
「またお願いします。」
「もういいでしょう…忘れた頃にで。」
「その頃には俺かリーダーと付き合ってるかもしれないしね。」
「そうそう。」
「もうないの!まこちゃん、出ちゃダメだからね。」
「それはわからないです。」
「えーーーっ!」

「そうだ、坂井さん。あれ、社内通りました。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
「近々、打ち合わせできます?」
「わかりました。また、確認して連絡します。お疲れ様でした。じゃあ、お先に失礼します。」

「まこちゃん。」
「じゃあね。」と彼の肩をとんとんと叩いて、立ち上がる。
「お前、この後ミーティングあるからな。」
「嘘…。」
「まこちゃん、ありがとう。またよろしく。」
「ありがとうございました。」とスタジオを後にする。


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