私、大野りんごはふつーのカフェバイト、
今日から私の彼氏となる人がこのカフェに訪ねて来るらしい…
えっ、この人が!?
びっくりで実感わかない。
なにこの人!
無愛想でこれからの恋人、この人とか嫌すぎる。
そもそも私は恋人とかいらないのに。
そう、私は恋人とか恋愛とか駆け落ちとかそういう言葉とは無縁に生きてきた。別に興味もないし、面倒だし、だから恋人はいらない…けど、友達の萌花がいた方がいいってSNSで募集しちゃって、バイト先に現れた、ということである。
今日からこの人が彼氏。
とりあえずあわなかったらさっさと別れよう。情が沸く前に。
そうして私は近づくことにした。
そうして吹谷はこちらを向いた。
そうしたら見えてしまった。
彼の洋服に付いている血のしみが。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!