僕には彼氏がいる。
それは、身長が高くてスタイルもいい、おまけに顔も性格も全部が完璧。
でも、唯一の欠点がある。
それは、 "年の差" だ。
夜中に、若井にLINEを送ろうか迷う。
会いたいなんて言ったら迷惑かな??
◀ 若井 🔍 📞 三
2:36 会いたい
ごめん、明日早いから寝るね 2:38もう分かりきってた。
毎回のようにこの件をやってる。
「.........飽きちゃったかな、」
『元貴、会いに来たよ』
「ぇ.....若井、なんで?」
学校終わり、1人で帰っていたら若井の車がすぐ隣にある。
若井は隣おいでと窓から呼んでくる。
僕はそれに従うしかなく、隣に乗る。
久しぶりに見た若井の顔、若井の車、全部が幸せ。
『学校お疲れ様。』
「若井こそ、大学お疲れ様」
僕は高校生、若井は大学生。と言っても、2個しか差はない。
きっかけは_____
僕が高校1年生の時、体育委員として異学年交流をする事に。
体育委員は審判などをするため、2学年を同時に仕切る。
それはそれは大変なもんで、みんなが気分が上がれば話は聞かない、話は止まない。
今日はもう予定通り進まないことは確定していた。
時間も迫っていき、全部のゲームは時間が少しずつ減って言った。
先生方も全力でやりに来た生徒も少しピリついている
太陽に照らされた僕らは焼けてしまいそうな程に暑かった。
やっと静かになったから、僕はマイクを使って話す。
「異学年交流会を始めます。
それぞれ分担が決まってると思うので
それに分かれてください。」
全員が走って、決まった分担の所で楽しそうに話している。
『ぁ...俺今骨折しちゃってさ、笑』
少し寂しそうに笑う人が僕に話しかけてきた。
「暑いと思うんですけど、ここで待っててください」
『はぁい、笑』
「っはぁ、.....」
『大丈夫?暑いね、笑』
暑いのが嫌いで外も嫌いな僕にとってこれは
なにかの拷問なんじゃないかと疑う。
「暑い、です笑」
そうだねと微笑みながら頭を撫でてくる。
今日初めて話したのに突然のことにびっくりした。
ジャージに書かれている名前を見たら、" 若井 "
と書かれている。
あのモテモテで人気な若井さん??
裏でファンクラブができている若井さん??
「ぁの.....」
ピーっと大きな音を鳴らすタイマーに全員が喜びと
絶望している。
「ぁ.....結果は後日発表します。
教室に帰ってください。」
『......どうした?』
〈若井ー!!行くぞー!〉
『ぁ...今行くー!
ごめん、後で話そ、靴箱で待ってて!!』
骨折した腕を抱き抱え、軽く走る若井さん。
僕は、後ろ姿しか見れなかった。
結局、靴箱で待っていたら、若井さんの友達にも囲まれて帰ることに。
『今日言いたかったことって?
なんでも言ってごらん?』
この人がモテる理由がわかる。
「......なんで、僕なんかに構うんですか」
『......んー、惚れた、かな』
〈え、若井〉
『うるせぇよ!w
でも本当だよ?』
惚れた??
誰に?
『名前教えて?』
「元貴、です...」
〈元貴かぁ、じゃ、今日はラーメン行くか
元貴もな!俺の奢りだぞ??〉
みんな身長が高くて僕が埋もれる。
後ろを見れば女の子達がキャーキャー後をつけてる。
『元貴、行こ?笑』
正直、先輩が怖い。
弱み握られたりだとかしたら僕の学校生活が終わる。
「ッ...はい、」
僕は端の席がいいって言ったのに小上がり席のど真ん中、先輩に囲まれている。
隣で若井先輩がメニューを見る。
『元貴は、何が好き?』
ひとつのメニュー表を二人で見ていたから、顔が近い。
「ぇあ、...んー、」
ラーメンなんて普段食べない。
『お腹あんまりすいてない??』
「...ぅん、笑」
『俺も、笑
半分こしよっ!笑』
全員男前に食べているのに僕だけちゅるちゅると吸っているだけ。
僕より若井先輩の方が量が多いはずなのにもう食べ終わってる。
〈美味かったー、〉
〈元貴、全然食べてないじゃん笑〉
『いーのいーの、笑』
肩を組んでくる若井先輩。
「ぁの...ありがとうございましたっ、」
〈.....こりゃ、若井も惚れるな〉
『でしょー?うちの自慢の子』
『家まで送るよ』
遊んでいたら案外暗くなっていた。
「いやぁ、大丈夫ですっ、すぐ近くなんで、」
『可愛い子1人で歩かせたらだめだよ』
顔が熱くなる感覚がした。
「じゃあ、お言葉に甘えて、?」
先輩達と話していれば一気に時間が経つのが早くて、僕の家の前に着くのもすぐだった。
〈俺ら、コンビニ行くわ、
若井は元貴と少し話してたら?〉
『うん、そうするわ』
ここから二人きりなんて考えてなかった。
胸の鼓動が一気に早くなる。
『あのさ.....、俺もう1回言うね。
俺元貴に惚れたよ。』
『付き合ってください。』
目の前に差し出された手を見て、断れなかった。
好きかどうかもままならない気持ちで手を握ってしまい、交際がスタートした。
という、少し長いようで短いスタートの切り出しだった。
『今日はどうだった?』
「テストあったぁ、もう嫌」
『んははっ、w
テストむずいもんねぇ、』
「ぁ...今日学校にこの前の先輩たち来たよ」
『あぁ、〇〇?笑』
前々から思っていたけれど、若井は本当に大人びていて、余裕のあるような人だ。
「そうそう、なんか肩組まれた笑」
『なんか言われた?』
「まだ続いてんのー?って笑」
『俺にもこの前聞いてきたんだよなぁ、笑』
ついたのは、若井の家。
高校を卒業して直ぐに、一人暮らしと免許を取ったらしい。
かっこいいよなぁ、
『元貴はもう卒業かぁ、
卒業したら俺の家で住む??笑』
「んふっ、結構あり、笑」
家に入るとすぐ近くにはギター関係のものが置いてたり、男の子っぽい部屋って感じはあまりしなかった。
「好き、」『......甘えたくなった?笑』
会えてないんだもん。当たり前だよ。
2週間会えないし電話も中々できないのに、
「一緒に暮らす。僕も絶対暮らすから。」
『親御さんに挨拶行かないとなぁ、笑』
「大丈夫、僕の親は絶対いいって言うもん。」
嬉しそうに微笑む若井を見て、僕は腹が立った。
住みたいとか、こう思っているのも、全部全部、今は僕だけの気持ちなんじゃないかって。
『......元貴はさ、高校卒業したら働く?』
「うん、当たり前にね」
『そっかぁ、』
何か言いたげな若井の表情を見て、ますます腹が立った。
「...なに?」
『あのね、社会人と大学生は生活リズムが違うの
社会人は一定の時間に起きて一定の時間に
家に帰ってくる。』
『大学生は、日によってちがう時間に登校して
ちがう時間に帰ってくる。
起きる時間も寝る時間も違うの。』
そんなの、最初から僕は分かりきっていたことだ。
僕のお兄ちゃんを僕が一番近くで見てきたから。
『そうなったら、俺は元貴を悲しませるよ。
最初は我慢できても、いつか出来なくなるよ。』
未来を予測したかのようにツラツラと話す若井。
なんの根拠もないのに、僕の全部を知っているかのように話してくる。
「そんなの、やってみなきゃ分からない。
最初からそれを覚悟した上で同棲すれば、何も
恐れるものなんてないよ。」
『元貴のメンタルが崩れる方が
俺にとっては嫌だよ。』
「僕の全部をわかったかのように話さないで
若井に僕の何がわかるの?」
お互い、落ち着いて話しているように見えるけれど、
落ち着いているのは若井だけ。
『ごめんね、確かに何も分かってないかも。』
「いくらなんでも、言っていることは最低だよ、」
若井は何も間違えていない。
分かっているのに口だけは一丁前に若井を否定して、
傷付けてるだけ。
「.....社会人と大学生は、生活リズムが違うんでしょ
僕たち、合わない同士なんだね」
こんなこと言いたくなかった。
『そんなことないよ。
合わないなら俺が合わせるし。』
「もう、うざったいの。
若井の余裕がある感じとか、会える訳でもないのに
そんなこと言われたら、僕は辛くなるの。」
『......お互い、しっかり考えよっか。』
「コクッ.....泣」
今日は、若井の車に揺さぶられて帰る。
夕日を見ると、あの日の若井が過ぎる。
告白してくれた時の顔、OKした時の顔。
申し訳ないなぁ、
『......また、来週迎えに来るね、』
寂しそうに、悲しそうにしている若井の顔を見て、
僕はまた涙があふれる。
『泣かないで、俺元貴は泣かせないって決めたんだ』
どこまでも優しいな。
そして、次の週に約束通り若井は迎えに来た。
『お疲れ様』
「若井こそ、大変なのにありがと」
『なになに、素直じゃん、笑』
先週で僕は若井のことを痛いほどにわかった。
『今日、さ泊まってかない?
金曜日だし』
「......お母さんに聞いてみる、笑」
お母さんに聞くと、全然いいよとの事で荷物を取りに行く。
「ただいまぁー」
『おじゃまします。』
《若井くん、懐かしいねぇ、一気に大人になった
んじゃない??笑》
『あははっ、w』
《身長もすごい差ついちゃってぇ、
元貴がね、ずっと自慢してくるのよ》
「ねーぇ、やだー笑」
《かっこいいかっこいいって、笑
絶対一緒に住むまで言っててさぁ、笑》
『.....俺は、迷惑じゃないんでもらえますよ、笑
ね?元貴、ナデナデ』
「もぅ...いいって、//
僕の部屋行くよ!!」
ほんと、お母さんが入ってくれば勝手なことを
ペラペラと話して。
僕の話は普段記憶にないことばっかなのに。
『はーぁ、可愛いね、笑』
「うっさい、」
大きめのリュックに服を詰めている時はからかわれるし、ずっとこっち見てくるしで最悪。
なんで3年付き合っててこういうのに耐性がないんだろうってずっと思っている。
忘れ物がないか確認中、お母さんが僕の部屋に入ってきた。
《元貴、若井くんと住むんでしょ??》
「別に、まだだし」
どうせからかうだけでしょ??
《お母さんねぇ、おばあちゃん達を見なきゃ
いけなくなったの
お金が必要になればあげるから、若井くんお願い》
突然のことだった。
『......でも、まだ高校生です。
預かるのはまだ早い気がします。』
《......もう卒業よ。新しい道に行かせるのも
親の務めでしょう??》
『.........、元貴行こう。』
《頑張ってね》本当に同棲がスタートする。
高校は地下鉄からでもバスからでも行ける距離。
最低限の荷物を持ったから平気。
『元貴のお母さん、いい人だね。』
「この前の喧嘩、全部まとめられたね笑」
『ほんとだよ、w』
「この前は、ごめんなさい。」
『俺も、ごめんなさい』
仲直りをすることができた。
数ヵ月後
『元貴ー、夜ご飯何がいい?』
「トマトパスタ」
『またー??笑』












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!