止めたかったが先輩はそんなことを気にもとめず話し続ける。
多分、俺の記憶を消すか、柚月ちゃんの記憶を消すかだと思っていたが…
何とか抵抗しようとしたが先輩の重い目線に耐えられなかった。もう、諦めるしか……?そもそもこんなの隠し通せるはずがなかったんだ。
そんなの、決められるわけが無い。今まで色々な子達を見てきたが、柚月ちゃんは、柚月ちゃんは他の子とは違った。だから必死に守ってきた…それを俺の選択で……
先輩は、どこまで知っているんだ……
結局は、柚月ちゃんの元の記憶は無くなるんだ。上書きの方が一見良さそうに見えるが、記憶だと思っていたものが違うと気づいた時。もの凄いショックを受ける。なら、消した方が無難なのかもしれない。けど、そうすると思い出す可能性が限りなく少なくなる。上書きならもしかしたら元に戻せるかもしれないんだ。俺は…
俺の、記憶…確かに知らぬが仏という言葉もある通り知らない方が楽なこともある。けどそれは責任の放棄なのでは…?やばい。そろそろ眠気がさしてきた。早く決めなければ。
バチッ
見落としてた…先輩は眠らせる以外にも、俺をこうやって気絶させることも出来たんだった…
目が覚める。頭が謎にスッキリしている。ここはどこなんだろうか。分からないな。
紙が置いてある。二十三期生 花咲柚月…これが私の名前?いまいちしっくり来ないな。
目の前に、誰だか知らないが、男の人がいる。座っているその人は何故か泣いていた。そしてその人は誰かもう一人の男の人に呼ばれている。そして私に柚月ちゃんと言ったか?私はやっぱり柚月っていう名前なんだろう。
あの人は"ひとと"というのか。
なんか、行っちゃったな。私はどうすればいいんだろうな。……寝ようかな。
来てしまった。気を失っている間に知らないところにいて、結局逃げることも出来なくて、結局連れてこられて、柚月ちゃんが記憶消されるところも目の前で見て…最後、柚月ちゃんが目を覚ましたから、まだ、良かったけれど…
東先輩はどういう気持ちなんだろうな。俺は、もう無理なんだろうな。
何を話し出すかと思えば…それにしても、俺って本当に東先輩の教え子だったんだな。
先輩がこんなこと言うなんて。"願い"かぁ。でもどうせ忘れてしまうんだよなぁ。……それでも。
東先輩は少し驚いた顔をしたあとに少し悩みこっちを見つめた。
……そんなことが、できるなんて。
あれ、急に視界が……
あれ、ここは……
本当に、本当にもどってる……
……綺麗、だ。でも、あの時の星空にはあった一等星がないな。
……もうそろそろ、終わりなのかな。
記憶、ないはずなのに。しかも柚月ちゃんはそんなに耐性はいはすだ。記憶が残るなんて、キセキが起きない限りは……
……一等星が無くなったのは、もしかしたら柚月ちゃんを守れなかったからかもしれない。
柚月ちゃんが少し歪んだ笑顔をつくる。柚月ちゃんと、もうちょっと話していたい。けど、もう叶わないんだろうな。
段々と重たくなっていく体で眠ってしまうことを察した。多分柚月ちゃんは俺よりも体が小さい分早く薬が回ったんだろうな。だから俺より先に気づいたんだ。
あれ、先輩が来たって……?
バタッ
もう、いいか。
柚月ちゃんの記憶を全部戻してあげたんだからもういいよね。
~完~ 星空の下でまた君と出会えたら

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。