第18話

最後
9
2025/05/06 00:25 更新
先輩
先輩
本題に、入ろうか。
この話が、この場面が全て東先輩の思いどおりになっている気がして少し寒気がした。が、もう後戻りはできない。
花咲柚月
花咲柚月
…零兎先輩って記憶、残ってないんですよね…?捏造、ですか?
いつまで焦らしていたってなにも変わらない。まぁ、ここまで踏み込むと私の記憶についても触れられそうだが、もう諦めよう。この質問にさえ答えてもらえれば、私はもういい。
先輩
先輩
一青くんからの入れ知恵かなぁ?そうだよ。捏造だよ。まぁもっと細かいところまで答えるのであれば[上書き]、かなぁ?
花咲柚月
花咲柚月
え。
こんなにすぐ教えてくれるとは思っていなかった。なにか裏があるのか?…でも、そうは見えないが…?
先輩
先輩
柚月ちゃんも記憶あるんだよねぇ。一青くんよりは耐性弱そうだけど。一青くんに相当気に入られたんだねぇ。
全て、見抜かれている。なんでそこまで知っているんだ。まぁ記憶があることに関してはどんなに鈍くても気づくとは思うが、耐性とか、先生のこととか、なんで、そこまで……?
先輩
先輩
いいよ。教えてあげる。一青くんの本当の名前は一青 兎美うみ。彼は双子でね。双子の兄の名前がかいだったんだよね。それで海から読みをとって、兎美って名前になったんだと思うなぁ。
花咲柚月
花咲柚月
兎美……?
いまいちピンと来ない。確かに零兎先生も名前について疑問を持っていた。が、こんなにも違う名前だっただなんて。少し変えたくらいだと思っていた。
先輩
先輩
他にもあるよ?
先輩はゆったりと話し続ける。
先輩
先輩
まぁ、一番驚いてくれそうなのは……一青くんが殺したのは海くんだったことくらいかな。
花咲柚月
花咲柚月
……は?
思わず攻撃的な返事をしてしまった。先生は双子の兄を殺したのか…?そしてその話を真剣にではなくネタのように扱っているのに腹がたった。
先輩
先輩
あれっ、聞いてなかったかなぁ?
笑顔でそう言う東先輩は今では安心ではなく恐怖を与えているのと同然だった。
先輩
先輩
……でも、懸命な判断だね。
花咲柚月
花咲柚月
な、何が……ですか……
また何を言い出すのかと怖くなる。が、もうこれ以上逃げたりなどの失態を起こすと何をされるかが分からない。
先輩
先輩
俺はクッキーにも水にも麻痺薬をいれた。
花咲柚月
花咲柚月
……麻痺薬?
食べなくて良かった、が、なぜ麻痺薬……?
先輩
先輩
でも、気づかないか。この空間自体に睡眠薬が溶け込んでることに。
花咲柚月
花咲柚月
っ。
慌てて口を塞ぐ。多分空気に溶け込んでいるということだろう。まだ、意識はハッキリしている。だから、何とか…っ。
先輩
先輩
もう無理だよぉ。ほら、寝る一歩直前まで来てるはずだもん。もう体動かせないでしょぉ?
そう言われ、まだ間に合うかもと立とうとして見るが、手足が鉛のように重く感じてどうも動けそうにない。
先輩
先輩
……一青くんは騙してきたか気絶させてきたってとこかなぁ。俺の渡した機械が気に入ってくれたようで良かった。
私は、どうすれば…?というかそもそも無謀だったか。先生を気絶させてくるなんて。一人で東先輩のところに来るのは自ら記憶を消してくださいと言っているようなものだ。でも、先生と授業とかで一年くらい過ごしてきて、この何日間かいつもと違う感じて関わってきて……もし逃げるんだったら先生を置いていけないって思ったから。なら、先生の悩んでることも私が背負ってあげようって思ったから…そのためには必要な事だったんだ!……あれ、体がどんどん重く…
先輩
先輩
あれぇ?倒れ込んじゃったねぇ。もう、無理かな……?
落ち着け。落ち着け…私は今何をすればいいかを考えー…
ダンッ
一青零兎
一青零兎
柚月ちゃんっ!
バンッと扉を開ける音と共に零兎先生の声が聞こえた。
花咲柚月
花咲柚月
せん、せい……っ。
先生の顔は見えなかったが声だけははっきりと聞こえた。あぁ。先輩って呼んでって、言われてたんだったなぁ……。……もう、無理、かも……
一青零兎
一青零兎
ちっ……
遅かったか。東先輩の手口を教えておけばよかった。せめて最後水でも飲んでいれば睡眠薬を感じる機能が麻痺して眠りにくくはならないが眠る直前までは動けたはずだ。けれど、そんなこと事前に知らなければできるはずがない。
先輩
先輩
兎美くん。
一青零兎
一青零兎
はい……?!
なぜ、返事を……?
先輩
先輩
ごめんごめん。柚月ちゃん。相当一青くんのことが好きなんだねぇ。
先輩が意味もなくこんなことをするはずがない。そして柚月ちゃんの話はどういう事だろうか?特に好かれる理由が…?
先輩
先輩
で、一青くんはずっと口を抑えてて話しずらくないのぉ?
…先輩は俺がこの手口を知っていることくらい知っているだろうに…口を塞いだところで睡眠薬を吸い込ませにくくするだけだから早めに終わらせないとな…先輩の冗談がただのお遊びならいいのだが。
一青零兎
一青零兎
先輩……柚月ちゃんとは何を……?
記憶のこと、バレてないといいが。
先輩
先輩
一青くんから言うことはないのかい?
こういう形式か…実際バレていないかもだが、バレていた場合すごく最悪な事態になる。けど、自供したところで、何も変わらないだろうな。
一青零兎
一青零兎
……特には。
それか、何か言われたら気づかなかったで通せばいいか。
先輩
先輩
……そうか。じゃあ二つ、選択肢をあげるよ。
先輩が少し戸惑った後に笑顔で選択肢を出した。その時すごく嫌な予感がした。

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