……なんか、ぼんやりするな……
……なんだろう。この声。どこからか聞こえてくるような……?いや、それよりはなにかの記憶が蘇っているかのような……?
あれ、これってまさかだけど……?ま、まって、そのままいったら……!
や、やっぱり、これは、零兎先生の記憶……っ。
変な、夢を見た。
ここは、どこだろうか…なんかキッチンからベット、机まである…そしてなぜにおかゆなのだろうか…いや、まぁ、謎に食欲がないので助かるが……?!し、しょっぱい………
先生が作ったらしい。そのおかげでしょっぱいなんて口が裂けても言えない…まぁ言ったところで先生も何も出来ないとは思うけれど……でも、食べたら少しだけ、元気になった気がする……
そういえばさっき……。夢……やっぱり、夢じゃ、なかったな。
最初は先生は生徒に対して悪意しかないのかと思っていた。生徒とか、まぁ平たくいえば子供を殺している時点でそれは確定だと思っていた。思っていた……けど、なんとなく喋っているうちに先生も私と同じで、でも、そんな中でも妥協というか、そんな感じで今に至っているのかなって。そう、ちょっと思った。だから、ここが嫌いなら私と一緒に逃げ……
先生はきっと、嫌いって答えるんだろうな。そう思っていたからかすごくびっくりした。
ゆっくりと先生が話し始める。
少し悲しみの混じった声で先生が話す。東先生……。零兎先生はきっと、ううん。絶対寂しかったんだろうなぁ……私は先生が特別で、私も記憶を持っていて先生も記憶を持っていて、だから共通点があるし、話せるから、そんなに寂しいとは思わない。もちろんみんなが、って考えたら寂しいし、怖い。けど先生よりは全然寂しくない。先生は自分だけ記憶があるんだ。そんな寂しいことは無い。
寂しい過去を、掘り出してしまった。
"先輩"、かぁ。慣れないなぁ。先生はやっぱり先生だし、零兎先生って結構自分のなかでやっぱり特別な先生だから。
先生はやさしくてちょっとおかしくて、うん。先生として本当に大好きだ。
先生はドアをあけ、廊下に出た。
廊下の壁に『六階』と書かれた板がかかっていた。ここは塾の中では無いのか…?
全然知らなかった。が、まぁたしかに外から見たら何故か少し高い気がするなぁとは思っていた。けれど別の階があるだなんて。
先生は少し歩いた後に私たちがいた部屋の隣の部屋をノックした。
先生がそう言うと蒼流が部屋から出てきた。蒼流、よかった。こんな近くにいたなんて。
蒼流、記憶が無くなっているらしいが、前の私との記憶は残っているのか…なんか不思議だな…ここで蒼流に反論を言いかけた時零兎先生からの視線に気づいた。これ以上ヘマを犯したらきっと私は…
そう言うと先生はちらっと私を見た。
蒼流、相変わらず変わらない……けれど、やっぱり記憶はなくなってるのかぁ…と考えると寂しくなる。そして先生は私と蒼流…二十三期生をいっぺんに挨拶に連れていく気なのだろう。と考えると真秀達はどこに行ってしまったのだろうか……まさか……。これ以上悪い方向に考えたって何も出ない。真秀達が無事にいることを願うくらいしか私には出来ないんだから。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。