……あれ、起き上がれない。そして力が思った通りに動かない……?
……記憶が。ある。……わ、私は、人を……
何とか先生に今の状況を伝えたかったがどうも上手く喋れない。
いつこの脱力感から抜け出せるのだろうか。少し体を起こしてみたが……今にも倒れてしまいそうだ。
バランスが上手くとれず変な方向に倒れてしまった挙句、先生の足の上に倒れてしまった。
先生の声と同時にパチッとした衝撃があった。が、特に痛いなどではなくなにかかかっていたモヤがとれたかのようだった。
先生がこちらをみつめている。なんだなんだと思ったが多分私が動けるようになったのか、変化があったのかなどを知りたかったのだろう。
急いで先生の足の上からどく。先生と生徒という関係であるが、一応子供と大人で、異性だ。ちょっとは緊張する。それと同時に涙が溢れ出てくる。
夢じゃない。事実だ。さっきおこったことは取り返しがつかないことだ。私は……どうすれば……
先生が何も言わない。先生はなにか思う節があるのだろうか。
上手く言語化が出来ない。
先生はこれが目的だったのだろうか。それならばどう足掻こうと結局は従うしか無くなるのだろう。そしてもう、なにかされるのはうんざりだ。
もう何も、しないで欲しい。
先生はそう言って立ち上がる。わたしもつられて立つ。そうすると先生は無言で私の手をひいて歩き始めた。
そういうと先生はふっと立ち止まる。何かに勘づいたかのような表情をした後にすっと私を持ち上げる。
先生はそう言うと私をお姫様抱っこして歩き出す。前にもこんなことがあったが、中学生を軽々とあげている先生にあらためて少しびっくりした。あまり抵抗してもいいことは無さそうだ。何か。何か先生の中にいると安心出来る……
先生がさっき急に私をお姫様だっこしたのは先輩と鉢合わせることに勘づいたからなのかもしれない。それにしても、なんだろう、この"先輩"っていう人。やっぱり嫌な感じがする。
これは、私が聞いてていい話なのだろうか……?それにしてもなぜ先生は何も答えないのだろうか。
先生が私の方を見てにこりと笑って呟く。その笑顔にどうも安心できない。
えぇと、、何をいえばいいのか全く分からない。なぜか、この"先輩"のまえにたつと息詰まってしまう。
先生の肩をぽんぽんとして"先輩"は行ってしまった。ぅ、頭が痛い。ろくに食事もしていないからだろうか…そういえば随分前からお腹が空いていたんだったな……だんだん意識が遠くなっていくのを感じる……
意識が……もう……
何が起きたんだ。なんだ、何があった。とりあえず柚月ちゃんにつけている機械のデータをみる。酸素量、心拍は安定している…が……
しくじった。ろくに食事を取らせてあげられてなかった。ほんとうはもうすぐ食べさせる予定だったが…とりあえず死ぬほど低い訳では無い。が、なかなかそんなことになったことない人からしたら相当な空腹と飢えだろう。目覚めた時におかゆでも食べさせよう。その前にとりあえずベットまで運ばなければ…もう、ここの寮でいいかな。俺、なんか結月ちゃんと同じ部屋なんだよな。記憶なくなる前提だから…まぁ、特別な事例とかでもなくて先輩と後輩は同じことが多いからなんだけどな…まさかこんなことになるなんて…
ベットにそっと柚月ちゃんを置く。何回目だろうか。とりあえずおかゆを作らなければ…って……俺、料理…上手くできるかな…大抵レトルトなどを食べてきた。そして前までは同級生……同僚が作ってくれるものを食べていたが今回で寮の部屋割りも変わり人数も変わった。それによってここの部屋には俺と結月ちゃんしか居ない…同僚の部屋に行くこともできなくは無いが……。ちょっとやってみるか…。レシピを見ながらおかゆをつくる。ちょっと梅干しを入れた方がいいらしいが、柚月ちゃんがもし梅干し嫌いだった時に食べられなくなってしまう。んーと悩みながら手を動かす。上手に作れるのだろつか……
お湯が跳ねて手についた。なかなか上手くいかない。こんなことなら同僚に頼めばよかった……まぁでも、できている……のか?いや、出来たきもしたがなんとなくあっている気がしない。まぁでもないよりはいいのか?それよりもまだ柚月ちゃんが起きていない。何かあっかしていたりしないといいが…
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。