脳をいじっているときに変な記憶が漏洩しないことを願う。まぁ、柚月ちゃんが耐えられなかったら結局は忘れてしまうけれど……
俺はそれだけ言って自分にもヘルメットをかぶせる。頭に針のようなものが何本か刺さり少し痛い。が、これも仕事だ。そして手錠を外しておく。多分記憶は無くなってしまうんだ。なら、手錠を付けられてここに恐怖を覚えるよりかは、不思議な場所と思うくらいがちょうどいいのかもしれない。目を閉じ柚月ちゃんの記憶に干渉する。その間体を動かすことが出来ない。そして体力を何故か使うからか、終わったらいつも眠りについてしまう。柚月ちゃんより先に起きないと、記憶の無くなった柚月ちゃんは知らない人がいる状態に驚いてしまうだろう。とりあえず、始めるか……
目覚めると知らない部屋にいた。真っ白な部屋。ここはどこだろうか、というか私は誰なのだろうか。全く記憶が無い……そして、なぜ私はここにいるのだろうか。いるだけならまだなにか説明が出来そうだが、ここで寝ていたということにどうも違和感を感じる。
前にいる男の人のヘルメットに線が繋がっている。そして自分の近くに手錠のようなものがある。そしてそれは鎖みたいなものが繋がっていてそれはきれいにたたまれている。とりあえず自分のだけ外す。少し痛みを感じたがきっと気のせいだろう。
目を覚まさない前の人が少し心配になった。でもただ寝てるだけのように見える。それならいいのだが……
急にしゃべり出して何かと思ったが寝言なだけのようだ。
急に頭が痛くなる。そしてふと思い出す。なにかの記憶を。大人に捕まえられて、泣いて暴れて……なんだろう。少しあやふやだけど、何度も何かから逃げようとしたけど、結局は何か捕まって、色んな子供を捕まえる記憶……あやふやすぎてなにかが飛んでいるきもする。記憶なのかも怪しい。ただの夢?わ分からない。けど、何となく自分の記憶じゃない気がする。その時に私に言ってた名前は……
その夢では大人の人が私のことをれいととよんでいた。これは記憶?夢?分からない。何が何だか……
大人の人が起きた。なんと言えばいいのか。初めまして?こんにちは?どうすればいいのか……?
ゆっくりと話し出すその人はなにか悲しそうな顔をしていた。
そう言うと男の人は驚いたかのように口元をおおった。なにかまずいことでも言ってしまっただろうか?
れいと、れいと……夢で出てきた名前。この人の記憶?でも、なぜかその記憶以外でも聞いたことが……?
何を言っているんだろう。ふと口から出てしまった。私は今日この人を初めて……
するすると何かで隠れてしまったものが見えてくるかのように記憶が見えてくる。
そうだ。そうだよ。私は、先生になにかされて……あ、頭が痛い……
そうだ。わかった、私が見たのは先生の記憶だ。なんで私が知ってるかは分からないけど、多分、先生の記憶だ。
先生はずっと黙っている。そして頭痛が少し収まると先生の記憶が鮮明になっていく。先生には親友がいたんだ。男の子で活発で……でも、その子は死んでいる……先生の手で……っ…先生は暴れすぎてその代償に……けじめにと自分の手で親友をっ……
色んな感情が複雑になって涙が止まらなくなった。必死に涙をふいている私を何か言いたげな表情でずっと先生が見ている。
先生がすごく驚いているが私は次々に出てくる涙を止めることに必死だった。
扉が無い部屋だったはずなのに何故か扉があり、そこから大人の人が入ってきた。先生を呼んでいるのだろうか。
記憶の話をしている……?記憶の話は偉い人と先生しか知らないんじゃなかったのか……?この人が偉いのか…それとも、この人は記憶系の事をやっているのか?どちらにせよ少し警戒はした方が良さそうだ。
私のことについて話しているのだろうか。大抵の子は耐えられないらしいがそんなになのか?真剣に考えているうちに気づいたら涙は止まっていた。なにか二人でこそこそと話すと先生からする"先輩"はどこかに行ってしまった。
すこし、明るい顔をしている。先生からしたら私が記憶を取り戻すことは都合の悪いことのはずだ。先生の考えていることがいまいち分からないが今は先生の記憶なども知っているため、先生を罵ったりする気にはなれなかった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。