第10話

記憶
12
2025/04/13 08:53 更新
脳をいじっているときに変な記憶が漏洩しないことを願う。まぁ、柚月ちゃんが耐えられなかったら結局は忘れてしまうけれど……
一青零兎
一青零兎
柚月ちゃん。始めるね。
俺はそれだけ言って自分にもヘルメットをかぶせる。頭に針のようなものが何本か刺さり少し痛い。が、これも仕事だ。そして手錠を外しておく。多分記憶は無くなってしまうんだ。なら、手錠を付けられてここに恐怖を覚えるよりかは、不思議な場所と思うくらいがちょうどいいのかもしれない。目を閉じ柚月ちゃんの記憶に干渉する。その間体を動かすことが出来ない。そして体力を何故か使うからか、終わったらいつも眠りについてしまう。柚月ちゃんより先に起きないと、記憶の無くなった柚月ちゃんは知らない人がいる状態に驚いてしまうだろう。とりあえず、始めるか……
花咲柚月
花咲柚月
……ん、あれ…ここは…?
目覚めると知らない部屋にいた。真っ白な部屋。ここはどこだろうか、というか私は誰なのだろうか。全く記憶が無い……そして、なぜ私はここにいるのだろうか。いるだけならまだなにか説明が出来そうだが、ここで寝ていたということにどうも違和感を感じる。
花咲柚月
花咲柚月
……ヘルメット?
前にいる男の人のヘルメットに線が繋がっている。そして自分の近くに手錠のようなものがある。そしてそれは鎖みたいなものが繋がっていてそれはきれいにたたまれている。とりあえず自分のだけ外す。少し痛みを感じたがきっと気のせいだろう。
花咲柚月
花咲柚月
……大丈夫…かな?
目を覚まさない前の人が少し心配になった。でもただ寝てるだけのように見える。それならいいのだが……
一青零兎
一青零兎
ゆづ…ちゃ……
花咲柚月
花咲柚月
お、おきた……?
急にしゃべり出して何かと思ったが寝言なだけのようだ。
花咲柚月
花咲柚月
ぁっ……
急に頭が痛くなる。そしてふと思い出す。なにかの記憶を。大人に捕まえられて、泣いて暴れて……なんだろう。少しあやふやだけど、何度も何かから逃げようとしたけど、結局は何か捕まって、色んな子供を捕まえる記憶……あやふやすぎてなにかが飛んでいるきもする。記憶なのかも怪しい。ただの夢?わ分からない。けど、何となく自分の記憶じゃない気がする。その時に私に言ってた名前は……
花咲柚月
花咲柚月
れいと……
その夢では大人の人が私のことをれいととよんでいた。これは記憶?夢?分からない。何が何だか……
一青零兎
一青零兎
……ぁ
大人の人が起きた。なんと言えばいいのか。初めまして?こんにちは?どうすればいいのか……?
一青零兎
一青零兎
……こんにちは。名前分かる?
ゆっくりと話し出すその人はなにか悲しそうな顔をしていた。
花咲柚月
花咲柚月
名前、分からなくて。で、でも。何かに捕まる記憶があって……もしかしたら、夢……なのかも……
そう言うと男の人は驚いたかのように口元をおおった。なにかまずいことでも言ってしまっただろうか?
一青零兎
一青零兎
記憶……そうなんだ。俺は零兎。先輩って呼んでもらえば大丈夫だよ。
れいと、れいと……夢で出てきた名前。この人の記憶?でも、なぜかその記憶以外でも聞いたことが……?
花咲柚月
花咲柚月
先生……
何を言っているんだろう。ふと口から出てしまった。私は今日この人を初めて……
花咲柚月
花咲柚月
……零兎先生だ。
一青零兎
一青零兎
っ……
するすると何かで隠れてしまったものが見えてくるかのように記憶が見えてくる。
花咲柚月
花咲柚月
柚月だ。私の…名前……っ
そうだ。そうだよ。私は、先生になにかされて……あ、頭が痛い……
一青零兎
一青零兎
柚月ちゃん……思い出してるの……っ?
花咲柚月
花咲柚月
せ、せんせ……?
そうだ。わかった、私が見たのは先生の記憶だ。なんで私が知ってるかは分からないけど、多分、先生の記憶だ。
一青零兎
一青零兎
……
先生はずっと黙っている。そして頭痛が少し収まると先生の記憶が鮮明になっていく。先生には親友がいたんだ。男の子で活発で……でも、その子は死んでいる……先生の手で……っ…先生は暴れすぎてその代償に……けじめにと自分の手で親友をっ……
花咲柚月
花咲柚月
せ、せんせぇ……
色んな感情が複雑になって涙が止まらなくなった。必死に涙をふいている私を何か言いたげな表情でずっと先生が見ている。
一青零兎
一青零兎
柚月ちゃん。全部……お、思い出して……?
先生がすごく驚いているが私は次々に出てくる涙を止めることに必死だった。
先輩
先輩
一青く……?!
扉が無い部屋だったはずなのに何故か扉があり、そこから大人の人が入ってきた。先生を呼んでいるのだろうか。
一青零兎
一青零兎
ぁっ。せ、先輩っ……
先輩
先輩
そ、その子記憶が……?
記憶の話をしている……?記憶の話は偉い人と先生しか知らないんじゃなかったのか……?この人が偉いのか…それとも、この人は記憶系の事をやっているのか?どちらにせよ少し警戒はした方が良さそうだ。
一青零兎
一青零兎
……
私のことについて話しているのだろうか。大抵の子は耐えられないらしいがそんなになのか?真剣に考えているうちに気づいたら涙は止まっていた。なにか二人でこそこそと話すと先生からする"先輩"はどこかに行ってしまった。
一青零兎
一青零兎
……柚月…ちゃん。
すこし、明るい顔をしている。先生からしたら私が記憶を取り戻すことは都合の悪いことのはずだ。先生の考えていることがいまいち分からないが今は先生の記憶なども知っているため、先生を罵ったりする気にはなれなかった。

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