この作品は第5話の続編になります!
前編を見るとよりお楽しみできるかと思います

あなたの下の名前side
音楽番組の準備中
最近よく連絡をとっている子を見かけた
軽く会釈してその場を去る
この子は前の合同コンで出会ったアイドルの子で
すごい初心な子だ
グループのコンセプトも学生や青春って感じで
フレッシュなんだけど
この子自身、これまであんまり恋愛してきてないんだな
というのが分かる
アイドルだからできなかったのかもしれない
シンガーソングライターで恋愛の曲を主に歌ってる私
からすれば本当に犬みたいで可愛らしい。
今まで年下に惹かれることは無かった
告白されてもなんだがピンと来なくて
曖昧に返事をしては曲のネタにした
これが職業病というやつかもしれない。
どれだけ真剣に交際を考えてる相手でも
このまま別れたらいい歌詞書けるかな
なんて思ってしまう
今回の新曲も前に元彼と会った時のことをネタにした曲
私の恋愛は曲のネタに変換される
こんなことを友達に言うと
エモいだとか儚い恋って言われるけど
なんだかネタの為に恋愛をしているようで嫌だった
けど恋愛の歌を書けない私の存在意義なんてない
昔、青春や人の気持ちに寄り添う曲を歌ってた
その時の私は世間に見つけられなかった
けどそんな時に出会った人
年上の余裕感のある人だった
想いが溢れてしまってその人の恋の歌を歌った
そしたらその曲がバズり、アーティストとしてデビューすることが出来た
そこから恋愛の曲しか歌わない
歌わないだけで作ることもあるが、歌ったら世間から
見放されると思った
今まで築き上げてきた人気が一気に崩れると思うと
怖かった
次の曲はシニュくんとの曲かなぁ
我ながらこんな事を考えてしまう自分は最低だと思う
⋆꙳𝜗𝜚꙳.*
家に帰ってソファに項垂れながらエゴサをする
カムバ直後の1週間程は忙しい
明日も早く起きないと
スマホの画面には
『元彼への気持ちをこんなにも綺麗にかけるなんてあなたの下の名前ちゃんって今までどんな恋愛してきたの』
『あなたの下の名前の元彼になりてぇ〜』
全部、私を知らない人からの言葉
ため息をついてスマホの電源を消す
早くお風呂入ろ、
”ピコン”
スマホが震える
シニュくんからだ…
『改めてカムバおめでとうございます、また音楽番組で会ったらよろしくお願いします!』
『あと今回の曲の元彼とまだ連絡とってるんですか?』
『あなたの下の名前さんに会いたいです』
2件目に比べて3件目は遅れて送られた
悩んだのかなㅎ
シニュくんは私と違って純粋な恋をしてると思う
世間一般的には誰かの為にじゃなくて誰かが好きだから恋をする
考えたら息が詰まりそうになる
シニュくんのメッセージに既読をつけないまま、お風呂に浸かった
⋆꙳𝜗𝜚꙳.*
音楽番組の移動時間
昨日のトーク画面を見ながら送る
『シニュくんもカムバおめでとう』
『活動が落ち着いたら時間あるよ』
すぐに返信が来た
『来週の週末はどうですか』
文字を打つ指を動かす
『空いてるよ』
『会いたいです、話したい』
いつもより積極的な彼に少し驚く
『外だとバレるし私の家はどう?』
『あなたの下の名前さんの家お邪魔していいんですか』
『待ってる』
自分では分からないぐらいに胸が踊った
いや、分かってたけど知らないふりをしていたのかも
⋆꙳𝜗𝜚꙳.*
約束の日
軽く掃除をしていたらシニュくんから連絡が来た
『近くまで来ました』
誰かに見つからないように報告してくれてるのだろう
『鍵空けとくからそのまま入ってきて』
『分かりました』
数分後ドアが開いた
奥のリビングへ招待する
ただ単に嬉しかった
私の曲を沢山聞いて意味まで考えてくれたこと
けどまた恋愛、
自分が欲しがってた言葉ではなかった
こんな言葉を欲しがる私が1番ダメなんだけど、
言葉が詰まった
私が誰かを助ける曲を、誰かの青春を、誰かの生き様を
歌わない理由…
私なんで、
自分がしたい歌を歌わないんだろ…
好きな歌で好きでもない人を思って歌ってるんだろ…
そう思うと涙が止まらなかった
自分では気づかないうちにずっと思っていたのかもしれない
いきなり抱きしめられた
抱きしめてくれた
ずっと溜め込んだ物が溢れ出した
自分で気づいてたけど知らないふりをしていたもの
知りたくなかったもの
いつかは向き合わないといけなかったもの
私はシニュくんの大きな体に包まれながら
泣き続けた
⋆꙳𝜗𝜚꙳.*
シニュくんの柔らかい笑顔に目を奪われた
あぁこんなのが恋だったな、
久しぶりの感覚に胸が焦った
その時に多分確信した
私、シニュくんが好きだ
でも曲にはしない
したくない、しなくてもいい
きっと曲にできないぐらいに好きなんだ
年上としてシニュくんには余裕を見せたかったけど
もう無理みたい
今は完全に君の手のひらで転がされている
それに反抗したくない自分が居る
end
私の中で不完全燃焼感はあるのですが
気に入ってくださったら嬉しいです😊














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。