衝撃だった。
衝撃が強すぎて、少しでも油断したら涙が溢れでてきそうだった。
パニックになった。
先生は何か話してるはずなのに、聞こえなくて…
まるで音の無い映像を淡々と見ているようだった。
感情が込み上げて来て、なにも考えられなかった。
あのあと直ぐ、先生と一緒に病院へ向かった。
お父さんも居なかったから、先生が着いてきてくれみたい。
着いていくだけで、何も考えられなかった。
あの日、お母さんと泣きながら来た時と一緒。
薄暗い廊下で、手術中のランプだけが頼りなく灯っていた。
そんな中無事を祈って、ベンチに座るだけの風景。
先生はずっとそう話しかけてくれた。
でも、私は上手く返事ができなかった。
カチッ__。
そんな中、静かな廊下にランプの消える音が響き渡った。
その瞬間、私も先生も立ち上がり、ドアの向こう側にいる
医者が来るのを待った。
ドアが開き、医者の顔が現れた。
息を呑みながら、医者の第一声を待った。
医者は思い詰めた顔をしながら、息を呑み呼吸を整えた。
そして言葉を放った。
まだ医者はごめんなさい。としか言っていない。
後遺症かなんかが残ってしまっただけだよ。
幼いながら、私は必死に頭の中で言い訳を考えた。
お母さんが居なくなったって認めなく無かったから。
言い訳をしていたせいか、動揺していたせいかは分からないけど、
すっとは、入ってこなくて、理解できたのは数十秒後。
人生二回目の死亡宣告。
お母さんとの思い出がフラッシュバックしてきた。
最後は嫌な記憶しかなかったけど…。
それでも、お母さんだ。
最後の言葉は『ごめんなさい』だった。
そう思った瞬間、涙が溢れた。
私がずっと欲しかった言葉は、謝罪じゃなくて『愛してる』。
嘘でも良かったから、『ごめんなさい』じゃなくて愛の言葉が欲しかったんだって。
『愛してる』その一言さえ、聞ければいくら殴られたって、
ほんとに愛されてたんだって実感できたから。
でも、お母さんは、私に最後に『愛してる』と言ってくれなかった。
謝ってばかりで、私の事もちゃんと見てくれなかった。
お母さんは、ほんとに私の事が嫌いだったのかもしれない。
私は嫌いでも良いから、嘘でも良いから、愛してるの言葉が欲しかっただけなのに。
そう思うと、苦しくなった。
でも、これは紛れもない事実だった。
そんな事実を目の前にして声を殺して泣いていた。
先生や医者が励ましてくれた。
それでも、幼かった私はそれを無視するように泣いていた。
私が泣き止んで、何十分だっただろう?
迎えが来たと先生から聞かされた。
内心ビックリした。
親が居なくなった私に、迎えなど来ない同然。
なのに、迎えが来ると言う。
誰だろう?
そう思いながら、廊下の先からこちらに向かってくる人物を待った。
元気に、私に挨拶してくれた人は桃愛(とあ)お姉ちゃんだった。
お母さんの妹にあたる存在。
お母さんと桃愛のお姉ちゃんは年子じゃ無かったから、年がかなり離れている。
十歳ぐらい…?
ほんとビックリするよね。
だから、幼かった私も叔母とは呼べずお姉ちゃん付けだった。
特に、叔母と言うより、お姉ちゃん見たいな存在だったし。
桃愛お姉ちゃんも20代で叔母になるとは思わなかったって笑ってた。
先生が礼儀正しく御礼すると、いつもとは違って桃愛お姉ちゃんも律儀に、礼儀正しく感謝した。
その様子をぼーとしながら椅子に座って聞いてきた事を覚えている。
さよならの挨拶をすると、先生はそそくさと帰った。
きっと、気まずかったのだろう。
沈黙を切り開いて桃愛お姉ちゃんが喋った。
わざわざ、私の目線に会うように、屈んでくれた。
そう言葉では笑って平然を装って居たが、
言葉通り目元は赤く涙の後があった。
桃愛お姉ちゃんも泣くよね。
家族が亡くなったんだから。
突然そんなことを問った。
幼かった私にはその問の意味も答えも分からなくて、
戸惑いながら聞き返した。
そう言って、桃愛お姉ちゃんは体制を立て直すために立ち上がった。
桃愛お姉ちゃんは、呆れたようにそう言った。
桃愛お姉ちゃんの言う通りだ、20代なんてまだなんでも出来
る時代だ。
それなのに、私と言う荷物が付いてくるのだ。
はっきり言って邪魔なのだろう。
そんなことをはっきりと理解していた幼い私は、罪悪感が半端なかった。
呆れたように言った癖に、幼い私に決めさせようとした。
この時、この人は何がしたいのか凄い疑問に思ったのを覚えている。
私がそう問うと、桃愛お姉ちゃんも質問で返した。
私が戸惑っていると、桃愛お姉ちゃんは答えてくれた。
自分で自分の過去を思い出して嘲笑っていた。
そんな桃愛お姉ちゃんを見てると、胸が痛んで何もいえなった。
お母さんからそんな話を聞いたこと無かったし、
おばあちゃん達がそんなことする人だとも思わなかった。
桃愛お姉ちゃんは、頭が良かったらしい。
でも、何故か良い学校には行かなくて、ぐれたんだよね。
って言ってお母さんが言っていた覚えがある。
桃愛お姉ちゃんは学歴があれば何にでもなれたのにって。
お母さんがよく愚痴を溢していた。
何故だろうと、思ってたけど…そんな理由が。
これもまた何も反応できなかった。
きっと、ずっと辛かっただろうに。
私は動揺してしまった。
桃愛お姉ちゃんはやっぱりと顔に書いてある表情でこちらを伺った。
何で知ってるのっ?
そう疑問に思っていると、桃愛お姉ちゃんの方から話してくれた。
と、お母さんを嘲笑った。
確かに、最近のお母さんは親としては駄目だったと思う。
それでも、私のお母さんだし、良いところだってある。
そう思い、感情的になって桃愛お姉ちゃんに怒鳴った。
私がそう言うと、瞳孔が見開いてビックリした顔をした。
多分、私がそう言うとは思わなかったんだろう。
桃愛お姉ちゃんは意味がわからない言葉を微笑みながら溢した。
意味わからん展開で切ってごめん🙏🙏
ちょっと、ここで切らないと長すぎる🥺🥺













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。