この日。
お母さんは朝から泣いていた。
何故泣いていたのかは、分からないけど…。
今まで見たなかで一番泣いていた記憶はある。
何故かは分からないけど…私に対してずっと謝っていた。
だから、問いかけて見た。
何も答えてくれなくて、ただ泣きじゃくっていた。
そんなお母さんを目の当たりにして私は、
見てることしかできなかった。
どうすれば泣き止んでくれるのか…?
どれだけ考えてもまったく解決方法を思い付くことができなかった。
そんな時だった。
幼稚園のバスの迎いがきたみたいだった。
元気一杯の甲高い担任の声が玄関の方から聞こえてきた。
行かなきゃ。
そう思い、泣いているお母さんの事は優先しなかった。
初めての作り笑いは上手くできなかった。
それでも、人の為に私は“作り笑い”と言うものを覚えた。
その作り笑いはお母さんにどう見えたのだろうか…?
下手くその笑みと思われたか、心の支えになる笑み。
真相は謎だけど、心の支えになる笑みだったら…
嬉しいって今でも思う。
私が出ていこうとしても、お母さんは泣きっきりで、謝ってばっかだった。
それに対し、心配しながらも、私は思い足取りで玄関に向かった。
先生の甲高く、明るい声を聞いたら不安だった気持ちが少し薄くなった。
先生は、先生なりに私を励ましてくれた。
嘘をついてまでね。
幼かった頃の私は本気で信じて、この時からずっと心配していた。
藁にも縋る思いだったから。
そう言われ、バスに乗った。
バスに、乗ると誰かが一番最初に私に対して元気良く挨拶をした。
彼はゆあんくん。
私の家の隣に住んでる男の子。
私の幼馴染み。
生まれた時からずっといっしょだった。
毎日、元気良く挨拶をしてくれた。
それが嬉しくて何時も、
私も元気に返していたのを覚えている。
確か…。
正午になるちょっと前のことだった。
何時もどおり、ゆあんくんと一緒に話していた時だった。
バンッツ_。
そんな音が教室に響いた。
その音がなった方向を、見てみると…
先生が焦っていて、走ってきたのであろう。
髪と服が乱れていた。
教室を見渡して、誰か、何か探しているようだった。
どうしたんだろう…?
そう思っていると…
先生と目が合った。
そしたら先生は、私の方目掛けて走ってきた。
そして、私の目線に合わせて屈んだ。
呼吸が乱れていた。
そんな様子にビックリして、私は硬直状態だった。
先生は私の目を見つめていた。
真剣だけど、怖がらせないように優しく言った。
だから、硬直状態だったのが、少し和らいだ。
そう、返事をして先生に教室の外に連れ出された。
教室の扉をちゃんと閉めたのを確認したら、
また先生は、私の目線に合わせて屈んだ。
深く深呼吸を一回してから、私の目を見た。
衝撃的だった。
衝撃が強すぎて、油断したら涙か溢れそうだった。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。