そう言ってゆあんくんは私の髪から海藻を取ってくれた
いつも通りの笑顔を向けるゆあんくんにつられて私も笑った
私もゆあんくんの肩辺りについていた海藻を取った
ゆあんくんと笑っているとふと零崎さんの顔が頭をよぎった
私は慌ててゆあんくんと距離を取った
最初は怪しがっていたゆあんくんも納得して立ち上がった
レジャーシートを敷いている場所で一息ついていると狩野くんとるなが帰ってきた
私はるながくれたソーダを飲んで海を眺めた
ゆあんくんの見ている先に視線を移すと顔なじみがいた
私はおもむろに立ち上がってゆあんくんの前に立った
少し顔を輝かせたゆあんくんと一緒に零崎さんがいるところへ向かった
好きな人に向かって…
そう言い残すと零崎さんは踵を返して班員のいる方へ行ってしまった
……幸先が悪い…
少し気分が落ちているとゆあんくんが私の肩を叩いた
う〜…その誘いは嬉しいけど……零崎さんがぁ…
ゆあんくんの子犬みたいな目線に負けた……!
私は心の中で言い訳を言いつつゆあんくんの隣に並んだ
そう言うとゆあんくんは心底楽しそうな顔で私の手を取って走り出した
砂浜の上を走るのは地面を走っている感覚と全く違って何度も足がもつれそうになった
目的地に着くと夏フェスみたいなイベントが行われていて色々なアーティストのポスターが貼ってあった
ゆあんくんを見失わないようにゆあんくんのラッシュガードをしっかりと見ているとふいにゆあんくんが振り返った
私の答えにまだ納得いっていないようでゆあんくんは少し考える素振りを見せた
しばらくしてゆあんくんが私の手をしっかりと握った
意地悪に笑うゆあんくんになんとも言えない感情になった


















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。