第9話

手紙と消失
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2018/07/26 01:38
チリン。
「お兄ちゃんこれ上げる」
折りたたまれた折り紙だ。
「ここでは開けないでね。お祭りの日にこれ開けて」
ハナちゃんはそう言い残すと荷物を抱えて僕の脇を抜けていった。その横顔が先生の苦い顔に似ていた。
「いらっしゃい」
「いつものください」
いつものといえることが誇らしい。僕は席に着く。ハナちゃんは帰ってしまったようだ。
目をつぶった。このほうがいろいろ考えられる。最近はさぼることなく学校に行っているからここに来る時間が遅くなる。それでもハナちゃんと会うということはハナちゃんも学校に行っているのだろう。僕の安直な推理などどうでもいいのだ。ただハナちゃんが心配なだけだ。思考が縦横無尽に頭の中を駆け巡る。少し疲れてしまったようだ。僕はいつの間にか寝てしまっていた。暑い。いつも聞こえる風鈴の音が聞こえない。やけに体の横半分に固い感触がある。暑い。僕はアスファルトに寝ころがっていた。店が消えていた。

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