デンジ君は顔をしかめながら 、
私のお母さんを見つめていた 。
お母さん 、
何で生きてたんだろう 。
私は死んじゃえばいいって言ったはず …… 。
グサッ
気がつくと 、
私のお腹には謎の悪魔の腕が刺さっていて 、
大量の血が流れ出していた 。
速かった 。
全く動きが見えなかった 。
明らかに格が違う 。
そもそも 、
この悪魔は私の心が読めて ………
※ バンッって覚えてる ?
周りの奴が全員吹っ飛ぶやつです 。
もしこのタイミングを狙ってたとすれば 、
私とお母さんの関係も知っているのかも … 。
全く思い出せなかった 。
そもそもこの悪魔とは初対面なはすだ 。
昔って一体いつのこと … ?
ガンッ !!
鈍い音と共に 、
頭に強い衝撃が走った 。
何で …… 動けて … 、
…… 違う !
私の頭に当たったのは 、
大きな瓦礫だった 。
瓦礫が落ちてるのは … 。
私は死を覚悟した 。
デンジ君がこっちに向かってきてるけど 、
きっと間に合わない 。
私は目を瞑った 。
ブウゥゥゥゥゥウン !!!
グサッ
… 胸の辺りから血が流れている 。
チェンソーマンが絶望した顔で私を見ていた 。
ついこの前まで 、
死にたかったのに 。
… 今はこんなに 、
死ぬのが怖い 。
… 何今更 、
人間みたいなこと言ってんだろう 。
生まれ変わったら 、
人間になって 、
幸せな人生を送ってみたい 。
… なんて 、
欲張りだなぁ 、 私 。
もう充分送れたよ 。
…… 暗い 。
体中が痛くて熱い 。
ここはどこ ?
きっと 、
誰も答えを返してくれない 。
でも 、
どこか 、
懐かしい気もする 。
一番最後に聞こえたのは 、
チェンソーの音 。
初めて聞いた時に 、
なぜか馴染みがあった音 。
… 懐かしく感じたのは 、
ここに来たことがあるから … か 。
チェンソーの音に馴染みがあったのも 、
昔死ぬ前にこの音を聞いていたから ……… ?
「 それはアンタが 、
ホントに死んじゃえばいいって 、
思っていなかったからよ ? 」
気がつくとマキマさんはいなくなっていた 。
優しい声が聞こえた 。
怖そうに聞こえて 、
ホントは優しくて 、 温かい声 。
お母さんは私を優しく抱いてくれた 。
体中の痛みがなくなった 。
… ずっと 、 こうしてほしかった 。
嬉しいはずなのに 、
私の目からは涙が溢れてきた 。
悲しくないのに … 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!