休日の午後。
ショッピングモールのゲームセンター。
りりは何気なく入って───
すぐ見つけた。
り(あれって…)
私服姿の由宇。
黒いパーカーにラフなパンツ。
制服の時より、少しだけ大人っぽい。
ぽつりと、無意識にこぼれる。
反応して振り向く。
目が合う。
り(やば、聞かれた…)
一瞬気まずい空気。
ゆ(今、由宇くんって…)
でも、少しだけ表情が柔らぐ。
一瞬、固まる。
少しだけ笑って、優しく言う
り(今、名前で呼んでいいって…)
り(なんか、特別な感じ…)
クレーンゲーム、音ゲー。
笑いながら遊ぶ時間。
結局取れなくて──
由宇があっさり取る。
一瞬どけ止まる。
り(やばい今の…)
り(めっちゃ恥ずかしい…)
少しだけ歩いたあと。
り(優しすぎでは…!?)
ベンチに座って、アイスを食べる。
りりはふと顔をあげる。
り(プリクラある…)
少しだけ驚いた顔。
プリ機の中。
狭い空間。
私服の2人。
り(近い…やばい…)
1枚、2枚目。
少しづつ慣れてきて、自然に笑える。
そして、最後の1枚。
「3、2、1───」
その瞬間。
由宇が、りりの顎にそっと手を添える。
くいっと自分の方へ向ける。
距離が、一気に近づく。
り(え、ちょっと待って…)
触れたのか分からないくらいの───
一瞬のキス。
「パシャッ」
完全に固まる。
少しだけ顔を逸らす。
り(今の…え、え……!?)
ちょっとだけ照れた声。
り(絶対気のせいじゃないよね…!?)
プリ機の外。
でも、もう空気は変わってる。
り(なんでこんなにドキドキしてるの…)
ゆ(もう、戻れねえな)
"由宇くん"って呼んだ瞬間から。
2人の距離は、確実に変わり始めていた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。