〜森side〜
小山あなたちゃんは、誰よりも自分を殺せる子だった。
それは、肉体的な意味ではない。
精神的な意味で、だった。
君は、多分あの時から何も変わってないのだろうね…。
太宰くんを想う気持ちも…信念も…。
_____8年前。
戦争が終わり、町医者を始めた頃…。
私は彼らに出会った。
彼らは川で発見され、善良なる市民によって診療所に運ばれてきた。
「きっと、溺れたんだ!」
そして、”それ”に気づいた。
2人の手が固く結ばれていることに。
治療をすると、2人は同時に目を覚ました。
呆気にとられていると、男の子は眠りについてしまった。
鋭い目が向けられる。
少女は吐き捨てるように呟いた。
それは、後にも先にも初めてみた彼女の怒りだった。
キッ、と睨みつけられた。
涙を零さんばかりに目に貯める彼女の姿に息を呑んだ。
これは、彼女達の反抗なのだろう。
苦しめてきた大人たちへの反抗。
1つの賭けだった。
もしかしたら、この2人なら、新しい世界を作ってくれるかもしれない。
彼女は、殺気を放っていた。
おや、と瞠目した。
其の名は、つい最近何処かで…。
でも、其の答えは出てこなかった。
はっ、、と気づいて思わず立ち上がった。
急いで情報端末を取り出し、検索をかける。
小山家。
夫 小山大介。
妻 小山美夜。
そして小山美夜の旧姓は_____。
小山美夜、旧姓_______________福沢美夜。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。