〜あなたside〜
________14年前。
小学2年になって暫くした後。
3人で公園に向かう。
治が水道に向かう。
足をぶらぶらとさせ、独歩くんに問う。
独歩くんが目を輝かせ言う。
ボクの言葉に目を瞬かせる独歩くん。
笑顔で頷く。
独歩くんがいつも持ってる手帳には、自分の願いが書かれているのだろう。
本当に、キラキラしていた。
3人で過ごしたあの時間は。
すぐに、この倖せが喪われるとは、知らずに。
其の日の夜。
お母さんがボクを呼んだ。
休み時間。
1枚の画用紙は真っ白だった。
声を潜め、こっそりと教える。
何で治がそんなに必死なの?
え?え?ええ??
あの、その文脈だと。。。
告白では!??(今更)
でも、嬉しくって。
頬が自然と緩んだ。
続きの言葉に、治は真っ赤になって頷いた。
1枚の絵を抱え、アパートのエレベーターを治と降りる。
ドアの前で手を振る。
ガチャ、とドアを開く。
ツン、と鼻につく匂いがした。
鉄のような匂い。
おかしい、と本能的に感じた。
暗い廊下を通って、寝室、バスルームを見る。
続いてキッチンとダイニングに向かい、目を疑った。
床に散らばる紅。
其の中心に、人が2人。
2人が、血濡れに倒れ、背にはナイフが深々と2つ刺さっていた。
人よりいい頭脳が高速で動き出す。
ダイニングのテーブルの上においてある携帯は、治のお母さんのもの。
そして、滅多に帰ってないお父さんのシャツはアイロンが掛けられている。
気づいた瞬間、治のことを思い出す。
此処にいないということは、治のお母さんは。
玄関のドアを開け、隣の家のインターホンを押す。
何度押しても、応答がない。
ドアを引っ張ると、呆気なくドアは開いた。
そして、此処にも鉄の匂いが。
急いでダイニングに向かうと、
血濡れになった女性の側には、正気を失って包丁を握っている治がいた。
其の瞬間、全てを理解した。
手から画用紙が滑り落ちる。
治がこちらを見る。
其の目は、何も見ていなくて。
腕には、幾つもの痣。
あぁ。誰が悪いの?
不倫をしたお父さんと治のお母さん。
それを受け入れたお母さん。
それを知り、正気を失ってお母さんを殺した治。
きっと、全部悪いのは大人だから。
”あい”を願った少年が迎える結末が他の人間からの誹謗中傷と謂れのない悪意?
そんなの。
絶対に嫌だ。
其の瞬間。
紫の燐光が私を包む。
血濡れの包丁を持ち、全身に血を浴びた少女が振り返る。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。