放送が終わってから教室に来た巻舌野郎に
『お前らぁ外行くぞ外ぉ』と言われ校庭に出た
声のした方を見ると、それは廊下でお兄ちゃんと一緒にいた人だった
ニコッとまた笑顔で言った
必要以上に近寄りたくない…
そんなことより、柊がいるのに…
辺りをキョロキョロ見回した
私がここに来たのはお兄ちゃんといたいからだ
それなのに…
なんで.......
コロコロ コロコロ…
近くにいた私に箱を渡され、それを柊は受け取った
そして箱の中からたい焼きを取り出した
無言で目の前に出されたたい焼きを受け取った
私と桜はたい焼きを見つめていた
『こーいうのもボウフウリンの仕事っすよ』
さっき柄シャツが言っていた...
桜はたい焼きを口にした
私のことを必要だなんて言ってくれる人も居るのかな…
少し苦い気持ちになったがひと口食べたたい焼きは甘かった
たい焼きがこんなに美味いと思ったのは初めてだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!