第28話

もう散々…
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2026/02/07 15:06 更新
SEITO   side

本来の生活に戻って、
数日が経った。


夕飯も、
好きな時間に好きなもんを食べてる。

誰に気ぃ使うこともない。



……はずやのに。


箸を動かしても、
口に運んでも、
SEITO
(……味、せえへんな)

半分くらい残したまま、
箸を置く。

ソファで寝落ちしてもええ。
ブランケットも、別に要らん。




……はずやった。


夜中、
目が覚める。

肩が、妙に寒い。

無意識に、
横に手を伸ばして——

何もない。
SEITO
(……あ)


……あるわけない。

置いてへんやから。
SEITO
あー…クソッ


冷蔵庫を開けて、
缶を一本取り出す。

プシュ、って音が、
この部屋ではやけに大きい。
SEITO
……疲れたわ

グラスに注ぐ。
SEITO
(……一人で飲む気、せえへん)

キッチンの棚に、
視線が落ちる。

——マグカップ。

それだけが、
まだ、そこにある。

気づいたら

あなたのマグカップにも、
酒を注いでた。
SEITO
……晩酌しよか

誰に言うでもなく。

ソファに座って、
二つの器を前に置く。

自分のを一口。


……何も変わらん


マグカップの方を見る。
SEITO
(アホやな)

でも、
目、逸らせへん。

誰もおらんのに。
SEITO
……あん時さ

ぽつり。
SEITO
社長が、余計なことばっかり言うから
SEITO
ほんま……困るわ

もちろん、
返事はない。
SEITO
……止めれんくて、
SEITO
ごめん

喉の奥が、少し詰まる。
SEITO
……追いかける資格も、何もないねん


そのまま、もう一口。

気を紛らすみたいに、
スマホを手に取る。


写真を一枚。

テーブルの上。
グラスと、ばら撒いたツマミ。

何気ない構図。
SEITO
【晩酌】

短い言葉を添えて、
深く考えずに、
ブログに投稿した。
——数分後。

通知。

ポップアップに映る、
コメントの一部。


ーーーーーーーーーーー
《マグカップ2つ?》
《誰か来てる?》
《これ、誰の?》
ーーーーーーーーーーー


一瞬で、
胸がひやっとする。

ほぼ同時に上がる、
別のブログ。
TAKUTO
【セイトと】

一気に動く、
コメント欄。

………は?
SEITO
(……助けられた?)

でも、
なんで?


写真を、
もう一度ちゃんと見る。
SEITO
あ……

マグカップ。


あなたの『だった』やつが——



…完全に、写り込んでる。
SEITO
……やってもうた


スマホを伏せて、
深く、ソファに沈む。


部屋は静かで、

酒は減ってて、

隣には、もう誰もおらん。
SEITO
(……俺、何してんねん)

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