第27話

気づいてしまった日
1,208
2026/02/07 14:14 更新
KAIRYU   side
KAIRYU
うぃーーーす

楽屋に入った瞬間、
メンバーの声が聞こえた。
SEITO
うぃーーす

コイツも…いつも通り。
トーンも、テンポも。

……なのに。
KAIRYU
(……あ?)

なんでかわからんけど、
胸の奥が一瞬だけ引っかかった。

視線を向ける。

笑ってる。
ちゃんと、笑ってる。

でも。
KAIRYU
(……目、向けへんな)

俺とは、合う。
メンバーとも、合う。


——でも、

…入口の方だけ、避けてる。


その理由が分かるまで、
そんなに時間はいらなかった。
あなた
あ…

視界の端に、見えた。


あなたちゃん。


今日、
俺らの担当じゃないはずなのに。


あなたちゃんも気づいて、
一瞬だけ足を止めて、
小さく会釈した。
あなた
……おはようございます
KAIRYU
おぉ…
おはよーさん
NAOYA
あなたちゃんやん!
おはよ✨
SEITO
……おはよう

声、
ほんの少しだけ低い。
KAIRYU
(……あー)

これ、
偶然じゃない。

セイトは、
見ないようにしてる。

あなたちゃんは、
見てしまってる。


…その差が、
一番しんどいやつ。


さらに、
俺だけは見てた。

あなたちゃんが楽屋を出ていくとき、
一瞬だけ、振り返った。



——セイトを見るために。



それを見て、
俺は確信した。

あなたちゃんはもう、とっくに覚悟してる。


なのに…

セイトはまだ、
逃げ道を探してる顔をしてる。

あなたちゃんが出ていった事すら
気にしていない程で、

セイトは何事もなかったみたいに
話し始めた。


冗談も言うし、
笑うし、
空気も壊さない。


……壊さない、だけ。


あれはもう、
隠せてるレベルじゃない。

セイトは、
自分だけがバレてないと思ってる顔をしてる。


そのくせ、
一番大事なところで何も言わない。
KAIRYU
(……ギリギリやないか)

多分、
そろそろセイトは限界や。


俺は、
スマホを握ったまま少し迷って。

——やめた。
KAIRYU
(……あかん)

今、俺が出るとこじゃない。

…いや、違うわ。
KAIRYU
(……俺には、無理や)

この感じ、
俺じゃ受け止めきれない。

ふと、
タクトの方を見る。

見た時には、すでに見られてた…

ただ、何か聞いたげな視線を
真っ直ぐ向けられる。

KAIRYU
(こわッ笑)
KAIRYU
(……でも)

夜、
もし…セイトが電話するなら。

…崩れるなら。



——たっくん



きっと、たっくんも気づいてる。


俺は、
何も言わなかった。

言わない代わりに、
決めた。
KAIRYU
(……ホンマ頼むで)

その時は、

崩れさせてやってくれよ。
KAIRYU
(アイツ…)
KAIRYU
(甘え方、下手くそやねん)

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