第4話

Prologue A&K(evening)
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2025/06/07 17:28 更新
東雲 彰人
東雲 彰人
もうこんな時間か
気づけば街は淡いオレンジ色に染まっていた。
喫茶店に入った時は、まだ昼を回ってすぐだったハズだったが。
勿論一人ではない。流石に一人で喫茶に何時間も居座るほど迷惑な客にはなりたくない。
今日は...
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
本当だ。この時間になっても、まだまだ暑いね
同じ「Vivid BAD SQUAD」のメンバーの一人、こはねと時間を過ごしていた。まぁ色々あって、相棒の冬弥に会いづらい状態にある。そこで終業式の帰り際に会ったこはねと、近くの喫茶店で話していたってワケだ。
少し、詳しく話そうか。






 前日の夜、WEEKEND GARAGEにて
東雲 彰人
東雲 彰人
それで、話ってなんだ?
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
新しくライブでも入ったの?
青柳 冬弥
青柳 冬弥
とりあえず、杏が来るまで待ってくれ
俺とその隣に座るこはねはなんの説明もなく呼ばれたため、何故急に集まったのか分からなかった。
杏がまだ厨房の片付けを手伝っているため、4人揃うまで待った。

白石 謙
白石 謙
片付けはこれくらいだな。
コーヒーでいいか?
白石 杏
白石 杏
うん!ありがと
厨房から手伝いを終えた杏が空いた席に着く。
東雲 彰人
東雲 彰人
それで、話ってなんだ?
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
新しくライブでも入ったの?
青柳 冬弥
青柳 冬弥
(NPCかよ...)
白石 杏
白石 杏
ライブじゃないよ。いい話ではないんだ...
東雲 彰人
東雲 彰人
なんだ、悪い話か。帰っていいか?
青柳 冬弥
青柳 冬弥
重要な話なんだ。聞いてくれ
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
なんか2人とも、改まった話し方だね...
いつも通りに喋ろうよ!私は悪い話でも受け入れるからさ!
白石 杏
白石 杏
それが...
杏が少し口籠る。冬弥も若干下を向いたまま、俺たちと目を合わせようとしない。
東雲 彰人
東雲 彰人
なんだよ、じれってえな!
そんなに言いづらいことなのか?
白石 杏
白石 杏
えーっと...その...
一体どうしたんだ。
普段強気で言葉を投げ合うメンツだからこそ、微かに苛立ちが湧く。らしくねぇ。
そんな杏を見かねてか、冬弥が口を開いた。
青柳 冬弥
青柳 冬弥
Vivid BAD SQUADを、解散しなくちゃいけなくなった
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
...え
さっきまで明るさを保とうとしていたこはねの声色が、一気に変わる。
東雲 彰人
東雲 彰人
は?何言ってんだよ
白石 杏
白石 杏
本当にごめん、訳あって理由も詳しく話せないの。別に、活動が嫌になったとかじゃなくて...
青柳 冬弥
青柳 冬弥
縁を切ろうって訳じゃないんだ。ただ、相棒としてはいられなくなる...
東雲 彰人
東雲 彰人
...納得いかねえ!!
何なんだよ急に!お前らに何があったんだよ!?悩みでもあんなら何でも話せ!
白石 謙
白石 謙
...
...つい怒号を上げてしまった。
謙さんが遠くから静かにこちらを見つめている。

青柳 冬弥
青柳 冬弥
...彰人が怒るのも分かる。話が突拍子すぎるのは自覚しているが、これ以上説明のしようが無いんだ。
許してくれ...
白石 杏
白石 杏
...これは私達だけの問題じゃないから...
東雲 彰人
東雲 彰人
だからって...!
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
...
それから数十分、張り詰めた雰囲気のなか話を続けたが、何も教えちゃくれなかった。意味深なことを色々言っておきながら、知りたい部分には口を開かない。

同じ立場のこはねは、その間声を発さなかった。その時は正直気を向けてやらなかったが、解散という現実を突きつけられ葛藤とショックで一番辛いのはこはねだろう。





怒りから目を覚まし隣を見た時、空いたイスと飲みかけのコーヒーだけがそこにあった...
帰り道でばったり会ったとき、正直声をかけていいのか分からなかった。夏の陽が照らす道を、無気力な表情で独り歩くこはねはまるで幽霊のようだった。
東雲 彰人
東雲 彰人
全部口に出せて少し落ち着いた。ちょっと強い言葉になっちまってゴメンな
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
ううん。大丈夫。
東雲 彰人
東雲 彰人
しかし、折角ならストレス発散も兼ねてカラオケでも入れば良かったかもな。
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
あはは、確かにね
東雲 彰人
東雲 彰人
...
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
...
この沈黙だ。喫茶の中でも、この気まずい沈黙は何度もあった。いつもならこんなことないのに。
普段ならポンポンと出てくる話題も、今日に限って脳が凍ったように出てこなかった。
東雲 彰人
東雲 彰人
...こはね
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
東雲 彰人
東雲 彰人
何でもない。ただ、呼んでみただけ...
小豆沢 こはね
小豆沢 こはね
そっか、
嗚呼。なんで、こんなことになっちまったんだ。怒りを吐ききった故に、残ったのは虚しさと悲しみだった。そうだ。もう全部、終わったんだ...
今にも溢れ出しそうな涙を留めているのは、もう己のプライドだけだった。



その時、人混みの中に見知った人を見かける。
東雲 絵名
東雲 絵名
...あ
東雲 彰人
東雲 彰人
げ、なんでいんだよ...学校はどうしたんだ
東雲 絵名
東雲 絵名
夏休み近いし登校ちょっと遅いの。そっちこそ浮かない顔してどうしたの?らしくないじゃない
東雲 彰人
東雲 彰人
色々あってな。ぶっちゃけた話、ダチと喧嘩...ではないけど、なんつーか...
偶然すれ違った姉と普段より会話が続いた。他の人に相談しづらいことを、俺は少し聞いて欲しかったのかもしれない。



それからだいたい5分くらい経っただろうか。
東雲 絵名
東雲 絵名
...あんたも色々大変なんだ。犯罪とかに巻き込まれないようにしなさいね?
東雲 彰人
東雲 彰人
分かってるよ、そんくらい...
じゃ、また
東雲 絵名
東雲 絵名
ん。じゃあね。あ、冷蔵庫にチーズケーキあるけど
あんたのじゃないから〜
東雲 彰人
東雲 彰人
...(少し悩む)
姉と別れ、忘れていたことにようやく気付く。
東雲 彰人
東雲 彰人
あれ?こはね?
さっきまで居たはずのこはねの姿がそこにはなかった。
東雲 彰人
東雲 彰人
...ッ!どこいったんだ...!


気づいたら俺は、走り出していた。

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