気づけば街は淡いオレンジ色に染まっていた。
喫茶店に入った時は、まだ昼を回ってすぐだったハズだったが。
勿論一人ではない。流石に一人で喫茶に何時間も居座るほど迷惑な客にはなりたくない。
今日は...
同じ「Vivid BAD SQUAD」のメンバーの一人、こはねと時間を過ごしていた。まぁ色々あって、相棒の冬弥に会いづらい状態にある。そこで終業式の帰り際に会ったこはねと、近くの喫茶店で話していたってワケだ。
少し、詳しく話そうか。
前日の夜、WEEKEND GARAGEにて
俺とその隣に座るこはねはなんの説明もなく呼ばれたため、何故急に集まったのか分からなかった。
杏がまだ厨房の片付けを手伝っているため、4人揃うまで待った。
厨房から手伝いを終えた杏が空いた席に着く。
杏が少し口籠る。冬弥も若干下を向いたまま、俺たちと目を合わせようとしない。
一体どうしたんだ。
普段強気で言葉を投げ合うメンツだからこそ、微かに苛立ちが湧く。らしくねぇ。
そんな杏を見かねてか、冬弥が口を開いた。
さっきまで明るさを保とうとしていたこはねの声色が、一気に変わる。
...つい怒号を上げてしまった。
謙さんが遠くから静かにこちらを見つめている。
それから数十分、張り詰めた雰囲気のなか話を続けたが、何も教えちゃくれなかった。意味深なことを色々言っておきながら、知りたい部分には口を開かない。
同じ立場のこはねは、その間声を発さなかった。その時は正直気を向けてやらなかったが、解散という現実を突きつけられ葛藤とショックで一番辛いのはこはねだろう。
怒りから目を覚まし隣を見た時、空いたイスと飲みかけのコーヒーだけがそこにあった...
帰り道でばったり会ったとき、正直声をかけていいのか分からなかった。夏の陽が照らす道を、無気力な表情で独り歩くこはねはまるで幽霊のようだった。
この沈黙だ。喫茶の中でも、この気まずい沈黙は何度もあった。いつもならこんなことないのに。
普段ならポンポンと出てくる話題も、今日に限って脳が凍ったように出てこなかった。
嗚呼。なんで、こんなことになっちまったんだ。怒りを吐ききった故に、残ったのは虚しさと悲しみだった。そうだ。もう全部、終わったんだ...
今にも溢れ出しそうな涙を留めているのは、もう己のプライドだけだった。
その時、人混みの中に見知った人を見かける。
偶然すれ違った姉と普段より会話が続いた。他の人に相談しづらいことを、俺は少し聞いて欲しかったのかもしれない。
それからだいたい5分くらい経っただろうか。
姉と別れ、忘れていたことにようやく気付く。
さっきまで居たはずのこはねの姿がそこにはなかった。
気づいたら俺は、走り出していた。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!