第43話

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2026/01/09 12:00 更新
正直に言えば今すぐに逃げ出したい

お家に帰って部屋に篭もりたい

こういう時の為に瞬間移動の魔法でもお勉強しておけば良かった...いや、私魔法は専門外なんだけど...
いやいやしながらも家族に付き添われ仕方なしに検査を終えたのだが、正直な話殆ど記憶には残っていなかった

今はただAriAの腕に抱き着きつつもぶるぶると震えながら最後の問診の呼び出し待ちをしているのだが...先生が怖い人だったらどうしよう...泣かないでいられる自身がないよ...
AriA
AriA
もー、ほら、私達が居るから大丈夫。だーいじょうぶよー?
月雫
月雫
検査結果聞いたらもう帰れるからね?あと少しだけ...頑張ろうな?
RyuuTo
RyuuTo
よしよし。いっぱい頑張れてえらいねぇ...帰りに美味しいカフェに寄って帰ろうね?
なぎ
なぎ
... ...。
なぎ
なぎ
...ん。
顔を上げることもせずにそう答えれば、3人から揃って頭を撫でられた



【東雲さん、東雲さん3番の診察室へどうぞ】



院内放送が鳴る度にビクビクとしていたのだが、ついに聞きたくない名前が呼ばれAriAの腕を更にぎゅーっと抱き締めた
AriA
AriA
ほーら、呼ばれたわよー?
RyuuTo
RyuuTo
大丈夫、俺らも一緒に行くから、ね?
月雫
月雫
そんなに震えなくてもいいだろう。大丈夫だから、な。
なぎ
なぎ
...ん。
促されるままに仕方なく歩み、診察室の扉を潜り椅子へと座らされる

RyuuToに背中を摩ってもらってはいるが、恐怖から先生のお顔は見られなかった
颯太
えっと…東雲さん……ではなくて、お姫様が診察ですかね?えらくご機嫌ななめですけど…
なぎ
なぎ
... ...。
ご機嫌がななめ、というよりは恐怖と嫌悪感に支配されているのだが...しっかりとお顔を見せていないのでどう取られても別に構わなかった

早く結果だけ述べておしまいさんにして欲しい...と思っていれば、くすくすと笑ったAriAがゆっくりと口を開いた
AriA
AriA
ごめんなさいねぇ、この子本当に病院が苦手で...
RyuuTo
RyuuTo
正直、素直に来てくれてのが奇跡なんです
月雫
月雫
大所帯ですまない。検査結果を教えて頂いても?
颯太
そうですね…特に異常という異常は見られなかったので、環境の変化によるストレスから来てるものと思われます。
颯太
少し音を服の上から聞かせていただいてもいいですか?
なぎ
なぎ
...  ...。
なぎ
なぎ
...はい。
しぶしぶ頷き初めて先生のお顔を見れば、酷く優しく微笑んでおり若干恐怖心が和らいだ...のはいいが差し出される聴診器にピクリと肩が揺れた

私のその様子を見た先生は聴診器をそっと手で温めた後に私の手にそれを触れさせながらも優しく口を開いた
颯太
ほら、ただの平たい板でしょ?
颯太
これを服の上に当てますね
颯太
怖かったら誰かと手繋いでてもいいからね
なぎ
なぎ
... ...。
まるで子供に言い聞かせる様に優しく声を掛けられにっこりと微笑まれた

そんな先生は私の行動を待ってくれているような気がして、ゆっくりと振り返り月雫の袖先を控えめに引いた
なぎ
なぎ
...月雫...?
月雫
月雫
俺でいいの?ほら、おててかして?
なぎ
なぎ
...ん。
差し出された月雫の手を握れば、温かいその手に優しく包まれた

緊張から凍っている私の手が冷たすぎて申し訳なく思いつつも、聴診器を当てられた瞬間にぎゅーっと握りこんでしまった
颯太
ふふ、うちのお嬢に似てるね。なぎちゃんは
颯太
はい、大きいお口できるかな〜?
なぎ
なぎ
はい...。
なぎ
なぎ
...んぁ...
颯太
は〜い大丈夫ですね。頑張れましたね〜
なぎ
なぎ
っ...。
月雫
月雫
よしよし、お疲れ様だね。
AriA
AriA
ふふ、いいこねぇ、よく頑張りました
RyuuTo
RyuuTo
えらいねぇ、よしよし
月雫の腕に抱き着きながらも3人によしよしと撫でられる

もうお顔も上げないもん。と思っていれば、先生に優しく声を掛けられた
颯太
あ、この中からいっこポストカード選んでいいですよ〜
颯太
普段はお菓子とかなんですけど、なぎちゃんこっちの方がいいかな〜って
その声があまりにも優しくて、あと少しだけ頑張ってもいいかなって思ったけど...いや、まって、やっぱり今すぐ帰りたいです...

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