前の話
一覧へ
次の話

第5話

第0話『前日譚』
36
2026/02/22 12:00 更新
────心地の良い小春日和、桜舞う4月。






















淡い花びらが風に運ばれ、冥香学園B棟の窓辺をやわらかくかすめていく。
新年度特有のそわそわとした空気が、まだ教室に落ち着ききっていない朝だった。



そんなこんなで、冥香学園B棟の校舎は、明らかにいつもより平和——
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
みんなおはよーーーっ!!!
な、はずもなかった。
その平和は、開始三秒で一人の男子生徒により崩れ去ったのだ。
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
ウルセェェェェェェェェ!!
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
みんな、と言ってもお前以外に2人しかいないけどな。 
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
あと小筆、今の時間帯だとこんにちはだ。
美術室の白い壁に、柊太の怒号が反響する。 石膏像が少しだけ震えた気がした。
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
あ、そっかぁ。 朝のおはようラッシュが頭から抜けきらなくて…。
創は照れ笑いを浮かべながら揉み手をし、 机の上に鞄をどさりと置くと、そこからガサゴソと大きめの画用紙を取り出した。
新品特有の紙の匂いが、美術部の大きい作業台に、ほんのりと漂う。
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
お、朝から創作活動か?
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
こいつが真面目に創作活動なんてする訳ねぇだろ。
どうせ8本腕の人間でも書き始めるつもりだ。
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
のーのー! 柊太も違う! からーは勘が鈍いなぁ…。
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
へ? 勘が鈍いって…。
創は窓側へと移動し、 差し込む春の光を背に、わざとらしく咳払いを一つ。
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
_____春。 そう、この季節には部活動新入生歓迎会、入学式などのおにゅーな行事がいーっぱい並んでいる季節。
どこからどう見ても、無駄に堂々とした教師ポジションである。
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
なんか急にまともになって話し始めたな。 
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
あと、部活入れるの中等部2年からだぜ。 1年は生活に慣れるという目的で部活入れないぞ。
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
あ、すっかり勘違いしてた。
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
お前もまだまだだな。 
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
…そういえば彩都の奴は…
────そのときだった。
教室の隅。 誰も気に留めていなかった石膏像の足元あたり。






彩都が、ぴたりと動きを止めている。
額から汗が一筋、頬を伝う。 息を小さく吸い込む音。
そして────
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
ぎぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
美術室に、高等部二年犂彩都の素っ頓狂な叫び声が響き渡った。 
窓の外の鳩が一斉に飛び立つレベルである。
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
からーってそんな声出せるんだね〜! すごいよからー! 
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
感嘆してる場合かてめぇ。
柊太は小さくため息をつき、 震える彩都の背を軽くさすった。
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
どうした。 なんかやばいもんでも見たか?
彩都は涙目のまま、指先で床の隅を示す。
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
ご、ゴキブリが…いた。
































一時の静寂。
春の陽気が一瞬で凍った。
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
なんだよそんなことか。
とりあえず隣の暇人部の奴らを…。
引き戸に手をかけた瞬間。





───ガンッ!!
廊下側から勢いよく扉が叩き開けられた。
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
なんかさっきからーの叫び声聞こえたけど気のせいだよねっ!!
明るい声とともに、後ろからの甘い香りのハンドクリームの匂いが流れ込む。
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
今日の暇人部の活動はね、学園近くのタピオカ店コンプリートなんだけど、デジタルアートな部活達パソコン部と美術部も行く〜?
_東江@あがりえ_ そのり
東江あがりえ そのり
甘い物いっぱい食べますわよ〜っ!!
…って。
隙を与えぬ程のマシンガントーク、の後すぐに部室の異変を感じ取った。
床の隅で、黒光りする影が三つ。
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
どうしたのからー!!! 
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
お前最初の叫び声で気づけよぉぉぉぉ!
⏱ ̖́事情説明中…💬
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
なるほどね〜っ! そりゃからーもそうなるわ。
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
ってことで行け! そのりん!!
_東江@あがりえ_ そのり
東江あがりえ そのり
わかりましたわ〜!!
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
お前それだけ親身になっといて他人任せかよ…
⏱ ̖́-‬色々あって、ゴキブリ捕獲
そのりの手の中で、黒い影が大人しくなっている。
_東江@あがりえ_ そのり
東江あがりえ そのり
ゴキブリ捕獲ですわ〜っ! 見てくださいっ! ゴキブリ!
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
ひえっ…見せびらかさんでいいわ!
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
よく素手で持てるな…
創の目は完全に輝いていた。
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
なんかゴキブリ持ってポーズとって見てよ!!
_東江@あがりえ_ そのり
東江あがりえ そのり
わかりました!
片手にはゴキブリ、片手は可愛くピース!
_東江@あがりえ_ そのり
東江あがりえ そのり
ギャルピで行きますわ!
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
お前らいつも通り過ぎだろ。
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
この調子でタピオカ店にレッツゴーしちゃお〜!
羅衣は部室の扉を手にかけ、ガラリと勢いよく部室の扉を開けた。
そして5人は、堂々たる足取りの元タピオカ店に向かって行ったのだった…。
〜タピオカ店にて〜


窓から見える放課後の商店街は、少し夕日の光を受けて淡いオレンジ色に輝いていた。
カウンター席でぐったりとする彩都の隣で、 カラフルなドリンクがずらりと並ぶ。
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
これチョー映えるっ!!
目を輝かせながら、そのカラフルなドリンク達を次々にフレームに収めてゆく羅衣。
その姿は、楽しむ心でいっぱいである。
シャッター音は軽快に響いていた。



一方隣のテーブル席では、相変わらずのコント劇場。
だが、ふと。
彩都の表情が真面目になる。
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
そういえばだが…






空気が、ほんの一瞬だけ止まる。








4人の視線が、一気に彩都の方へ向く。





_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
美術部も、パソコン部も、暇人部も新歓のポスター…
どうするつもりなんだ?





沈黙。






氷がカラン、とグラスの中で鳴った。






_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
あ。
喉から少しかすれた声が出た。
ドミノのように、2人も続ける。
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
えーっと…それはぁ…。
_東江@あがりえ_ そのり
東江あがりえ そのり
言わないお約束ですわ!
みんなが少し焦りながら、口々に言い訳を述べてゆく中、都合バツの悪そうな顔で、黙り込む者が一人。
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
黙り込んだって無駄だ。
なんか言え、創。


創を取り巻く、静寂しじまは続く。
あまりの静けさに唾を飲み込む音がした。




暫くした後、創は拳を握りしめ、覚悟を決めた様な顔をしたあと、彩都の方を向き。
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
その件については…僕の可愛さに免じて、許してちょ!!
と、一言。
渾身の一撃! 決まったか…?
、と思いきや…
_海堂 柊太@かいどう しゅうた_
海堂 柊太かいどう しゅうた
ふざけた面しやがって!!!
彩都のやつが許しても俺が許さん!
このあんぽんたんサイコ野郎!!!!
打って殴った会心の一撃。

さすがに守りは捨てたよう。
_小筆 創@こふで はじめ_
小筆 創こふで はじめ
ごめんってぇしゅう〜っ!
柊太から逃げ回る創。

そして、
_露峰 羅衣@つゆみね らい_
露峰 羅衣つゆみね らい
いつも通りだねーっ二人とも。
俺はナイフの手入れするから。
_東江@あがりえ_ そのり
東江あがりえ そのり
店員さんに銃刀法違反やらで何とか言われますわよ?
そんなふたりの会話を裏目に、頬杖をつきながら見守る喧嘩の当本人が
_犂 彩都@からすき さいと_
犂 彩都からすき さいと
お前らほんと…いや、どこまでもハチャメチャだな。
と、ポツリと呟いたのだった。






デジタルアートパソコン部と美術部と暇人共は、今日も平和であった。












昼の喧騒がゆっくりと遠のき、 学園は夜の顔へと切り替わる。
それと同時に、夜の冥香学園も、もちろん平和…
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
カプヌうめ〜。 徹夜8日目、まだ行けるな。
春の夜風は、思いのほか冷たい。
屋上。 街明かりが遠くに滲む中、 校則違反の白い湯気が、夜空へと立ちのぼる。

手は少しかじかんでいるようでもあったが、慣れた手つきで望遠鏡を組み立てる。 指の動きに少しの迷いはない。

























────刹那。
階段から、コツ、コツ、と規則的な足音。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
んぐっ?!
動揺した拍子に、熱湯が手元からこぼれる。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
?! あっつ! あっつ! あーーーっつ!!
夜の静寂を破る声。
ガチャリと、屋上の扉が空いた。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
いや星、分かりやす過ぎ。
扉の前。そこには腕を組み、やや彼の事を俯瞰するような表情の女生徒が一人、立っていた。
月明かりが、その輪郭をぼんやりと照らしている。









その様子を見て安心した星は、そっと胸を撫で下ろし、その場にへたり込んだ。
緊張が一気に解けて、膝から力が抜ける。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
なんだ…縁かよぉ〜。
腑抜けた声。
声のトーンが、一気に普段のそれに戻る。

馬鹿な頭で、なんで校則こっそり破れると思ってんだろこの人。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
なんだって何。
呆れたような、でもどこか心配そうな声色で、縁は一歩前に出る。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
もう一度言う、分かりやすすぎ。
私の足音が聞こえただけで取り乱して、カプヌ全部こぼすなんて。
あと大声で『熱い!』とか。
分かるに決まってんでしょ。
一気に言い切って、縁が軽くため息をつく。
その吐息が、冷たい夜風に溶けていった。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
いや、だって暑かったもん。
はぁー怖かった。
星はまだ少し息を整えながら、望遠鏡の横に腰を下ろした。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
で、縁何しに来たの?
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
見ての通り。
縁は屋上の手すりに寄りかかり、夜空を見上げる。
満天の星が、静かに瞬いていた。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
昼間星がずーっとほざいてた流星群ってのを見に来たの。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
へぇ〜君が!!珍しい!
星の目が、パッと輝く。
子供のような無邪気な笑顔だった。






その瞬間、縁の顔が曇る。
視線が、少しだけ下を向いた。




_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
…。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
…お前も、色々あるんだなぁ〜っ。
星は立ち上がり、縁の隣に移動すると、背中を優しくさする。




その手は、不器用ながらも温かかった。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
ちょ、セクハラ!
慌てて声を上げるものの、その表情はどこか柔らかい。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
やっぱり元気そうだな。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
全然だよ!! はぁ…。
大きくため息をついた後、縁は星の隣に、ドスンと力強く座り込んだ。
コンクリートの冷たさが、制服越しに伝わってくる。





そして、ゆっくりと星空を見上げる。

満点の星空と、満月と、そして地平線近くには木々のシルエット。
欠けてるところなんて、何一つない。
ずっと見ていられる、そんな夜空だった。

私は目が悪いから、メインディッシュの星が白い点々のようにしか見えない。
だけども、そんな私でも、この夜空はとても美しくて…。






刹那、星の喉から、彼のものとは思えないような優しい、そっと寄り添ってくれるような、声が出た。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
愚痴ならいくらでも聞くぜ。
とりま、カプヌでも食うか?
感傷に浸っているというのに、この白瀬星って人は…。

言い方が不器用だし、人のこと考えて無さすぎ。

だけど…そこが長所でもあるんだよね…。

今日起きた辛かったことも、嫌だったことも、この期に及んで全て吐き出してしまおうじゃあないか。

そう思い、縁が口を開こうとした瞬間_____














────ドタバタドタバタ!

階段から、複数の足音が響いてきた。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
ええっ?!
私の声とは思えないくらいの、高い、変な声が喉から出てきた。
心臓が、ドクンと跳ねる。

ちょっと変な声だったからか、隣からくすりと笑い声。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
お前ビビりすぎ〜!
星は楽しそうに笑いながら、立ち上がった。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
あと、このうるさい足音は、多分高等部の帰宅部の先輩か、オカ研の奴らのやつだから大丈夫だ。


そう、爽やかな笑みをひとつニコりと縁に向けたあと、屋上の扉が、ガチャリと勢いよく開いた。

冷たい夜風が、一気に吹き込んでくる。

そして2人の帰宅部の先輩が、この静寂の屋上に躍り出たのだ。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
た〜のも〜!
今夜流星群があるとか言う噂聞いてきたんだが〜って寒〜!!!
守は両腕を抱えて、ブルブルと震えている。
薄着のシャツ一枚では、さすがに春の夜風は冷たすぎたようだ。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
寒いに決まってんだろ。
そんな薄着で来やがって…。
蓮斗は呆れたように肩をすくめた。




すると守は少しドヤ顔をひとつかまして、先生のようなポーズを取った。
人差し指を立てて、わざとらしく咳払い。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
オシャレだよ…"れんれん"
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
ちょ!!そのあだ名で呼ぶのやめろ!
恥ずかしい…
蓮斗の顔が、ほんのり赤くなる。




その場の空気もちょっとだけ暖まったあと、その帰宅部の2人組の後ろには、地方のマスコットキャラクターのコスプレをした人と、普通に顔が良い男子が一人…って。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
恭也っちとなっつ〜じゃん!!
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
なんでそっちにはしっかり反応しといて俺らにはノーリアクションなの?!
蓮斗が、ジト目で星を見る。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
いや…先輩方はちょっと…。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
酷っ…。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
ひどいなぁ…おじさん何も変な事しないのに…。
守が、わざとらしくしょんぼりしてみせる。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
お前まだ高二だろ。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
まぁまぁこっちのうるせぇ先輩方は置いといて…
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
さっきからお前ものすごく失礼だな。
夏輝が、冷静にツッコミを入れる。
その表情は呆れ顔だった。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
なんで恭也はこんな格好してるの?
顔がいいから見苦しくもないんだけどさ〜。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
はたから見たら不審者の極みだよ…?
縁が、恭也のコスプレ姿をまじまじと見つめる。
確かに、遠目から見たら完全に不審者である。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
わかってないなぁ…星君たちは…
恭也は、コスプレの着ぐるみの頭部を持ち上げながら、得意げに語り始めた。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
この衣装の凄いところは、街ゆく人達の注目を集めれる事なのだよ!
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
絶対それ不審者って思われてるやつ。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
一応聞くが…なっつーは止めなかったのか?
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
止めたさ…。
夏輝が、疲れ切った表情で答える。
肩が、がっくりと落ちていた。
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
精一杯…使えるもんは全て使って止めたよ…でも…それでも…
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
無理だったのか〜。
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
そこは言わせて?!
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
まぁまぁ皆さんお疲れの様で。
星は、カップヌードルの箱を取り出し、どさりとみんなの前に置いた。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
カプヌあるし、流星群もあるしちょっとくつろいでから行けば?
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
はい! 俺絶対トマト味。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
夏輝がそれにするなら私も…
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
はいはーい! 私シーフード!!!
縁が元気よく手を挙げる。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
お前ら食いもんには目がねぇな。
星は苦笑いしながら、お湯を沸かし始めた。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
先輩方も何か…
星がそう言いかけて、ふと顔を上げた瞬間。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
…ってえ?!
目の前の光景に、思わず固まる。









赤々とした暖色の炎、コンクリートの上に、しっかり組まれた薪…。

パチパチと、薪が爆ぜる音。
暖かい光が、屋上を照らしていた。

そう、焚き火をしていたのである!
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
いや〜。
いざと言う時のために焚き火セット持っておいて良かったぜ…。
焼きマシュマロうめぇ。
蓮斗は、串に刺したマシュマロを炎に近づけていた。
表面が、こんがりと焼けている。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
寒くて死ぬかと思ったよ〜!
守は焚き火の前で、手をかざして温まっている。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
次はホワイトチョコとかしてマシュマロにつけて食べてみようかな…。
うふふ…。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
食わせろそれ。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
お湯沸かすより絶対あっちの方がダメでしょ…。
星は呆れて、天体観測の方に体を戻した。

望遠鏡を覗き込むと、夜空では星がきらりと瞬いては、地平線の方に、長い尾びれをつけて落ちて行った。



























────流星。

その儚い光の軌跡が、夜空に一筋の線を描く。

そろそろ夜空も良い頃か。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
おーい、みんな! そろそろ始まるぞ!
星の声が、屋上に響き渡る。

焚き火を囲んでいた一同が、一斉に顔を上げた。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
マジで?
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
ちょ、待って待って! マシュマロまだ焼けてない!
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
お前は食うことしか考えてないのか…。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
まぁまぁ、急がなくても流星群は逃げないよ。
恭也がそう言いながら、コスプレの頭部をようやく脱いだ。
汗で少し髪が湿っている。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
いや、流星は逃げるでしょ…。
縁が小さくツッコミを入れるが、もう誰も聞いていない。

みんな、それぞれの場所に座り込んだり、寝転がったりして、夜空を見上げ始めた。

コンクリートの冷たさが、背中越しに伝わってくる。
でも、焚き火の暖かさと、隣にいる仲間たちの体温が、それを和らげてくれた。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
じゃあ、消すぞ。
星が懐中電灯を消すと、屋上は一気に暗闇に包まれた。

最初は何も見えない。

だけど、目が慣れてくると。
















































────満天の星空が、視界いっぱいに広がった。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
うわ…すげぇ…。
守の声が、いつになく真剣だった。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
こんなに星ってあるんだな…。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
綺麗…。
縁の声は、いつもより少しだけ柔らかかった。
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
恭也、見ろよ。あれ、カシオペア座だ。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
おお、本当だ。星座って実際に見ると感動するねぇ。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
だろ? これが俺の世界だ。
星が得意げに笑う。
その横顔は、いつもより少しだけ大人びて見えた。












────刹那。

シュルルルル…

夜空の端、地平線に近いところで、一筋の光が走った。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
あ!
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
流れ星!!
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
うわっまじで?!
見逃しちゃった! もう1回…
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
願い事、間に合わなかった…。
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
お前、願い事とか信じるタイプだったんだ。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
まぁまぁ、これからだって。本番はこれからだ。
星がそう言った瞬間。

シュルルル、シュルルル、シュルルルルル…

次から次へと、流れ星が夜空を駆け抜けていく。

一つ、また一つ、また一つ。

まるで、星たちが夜空に絵を描いているかのようだった。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
うわ、すげぇ…!
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
こんなに流れるもんなのか…?
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
…綺麗
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
これは…圧巻だな。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
美しい…。この現象を科学的に解明したい…。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
科学とかいいからさ、今は素直に楽しめよ。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
それもそうだね。
しばらく、誰も何も言わなかった。

ただ、夜空を見上げて、流れ星を眺めていた。

パチパチと、焚き火が爆ぜる音。
遠くで聞こえる、街の音。
誰かの、小さな吐息。
世界が、自分たち以外、誰も居ないみたいだった。

春の夜風が、優しく頬を撫でていく。

冷たいけれど、心地よい。

そんな静寂を破ったのは、守だった。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
なぁ、みんな
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
ん?
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
俺さ、こういう時間、めっちゃ好きだわ。
守の声は、いつもの軽いトーンとは違って、少しだけ真面目だった。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
まぁ…分かる
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
うん…
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
俺も
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
同感だね
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
だろ…?
だから俺、星が好きなんだ。
星が、満足そうに笑った。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
昼間はさ、みんなバタバタしてるじゃん。うるさいし、忙しいし。
でも夜はさ、こうやって静かに、ゆっくり時間が流れる。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
そうだね…
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
だから、こうやってみんなで夜空見上げてると、なんか、全部どうでもよくなるっていうか。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
お前、たまにはいいこと言うな…
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
だろ〜!
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
調子乗んな
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
でも、星の言う通りだよ。こういう時間は、大切にしたいね。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
じゃあさ、また今度もやろうぜ。こういうの。
_真壁 蓮斗@まかべ れんと_
真壁 蓮斗まかべ れんと
また校則破るのかよ。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
いーじゃん。
バレなきゃ。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
バレなきゃ犯罪じゃねぇ
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
いい加減バレるよ〜!
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
まぁまぁ、バレたらバレたでなんとかなるって。
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
お前のせいで何回生徒指導室行ったと思ってんだ。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
ガハハハハ! でも、それも良い思い出だろう?
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
良くない!
笑いが巻き起こる。
そして、また静寂が戻る。

流れ星は、まだ降り続けていた。

縁は、そっと目を閉じた。

今日一日の疲れが、少しずつ溶けていくような気がした。

文芸部の革命騒ぎも、PC爆発させたことも、もう遠い昔のことみたいに感じる。

隣では、星がまだ夜空を見上げていた。

その横顔は、いつもより穏やかで。

ああ、やっぱりこの人は、夜が似合うんだなって思った。
_篠崎 守@しのざき まもる_
篠崎 守しのざき まもる
お前、料理下手なのに、カップヌードルだけは上手く作るよな。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
え??
なんで今それ?
_鏑木 夏樹@かぶらぎ なつき_
鏑木 夏樹かぶらぎ なつき
てかカップラーメンなんて誰でも上手く作れんだろ。
_二葉 恭也@ふたば きょうや_
二葉 恭也ふたば きょうや
徹夜の友、カップヌードル。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
二人とも、もうちょっと健康的な生活しなよ〜!!
また、笑いが起きた。

そして、また静寂。

流れ星が、また一つ、夜空を駆け抜けていく。

その光の軌跡は、儚くて、美しくて。

まるで、この瞬間を象徴しているかのようだった。















そして、この夜は、ゆっくりと更けていった。

屋上には、7人の笑い声と、焚き火の暖かさと、流れ星の光が、優しく残っていた。

冥香学園B棟の文化部たちは、今夜も、カオスで、賑やかで、でもどこか温かくて。

そんな日常を、静かに紡いでいた。

春の夜風が、また一つ、優しく吹き抜けていく。

明日も、きっと、こんな日々が続くのだろう。
冥香学園────旧放送室にて
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
こーんにっちわー!!!
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
ちょ、星!!
そんな大きい声出したら放送聞いてる人耳壊れちゃう!
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
いいんだよ〜。
聞いてる人の耳くらい。
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
良くない!!!
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
と、言う事で〜。
今回のお話、どうだったかな?
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
面白かった…かな?
良かったら回答してみて!

アンケート

今回の話面白かった?
面白かった!!
100%
つまらん!!!
0%
地の文多くね?
0%
会話多くね?
0%
タピりてぇ
0%
投票数: 4票
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
なんか一つだけ変な選択肢ない?
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
あー…それ多分暇人部の羅衣先輩が付け足したヤツ。
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
羅衣先輩とタピりたかったら1番下押しなー
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
みんなはちゃんと真面目に答えてくれるよね!!
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
次に、参加型の雰囲気とかお話の感じ、だいたい掴めた?

アンケート

雰囲気とか掴めた?
掴めた!!!
33%
うーん…大体は!
67%
微妙…。
0%
無理だった!!
0%
投票数: 3票
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
是非回答お願いしたいです!
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
ん…? 新しいカンペ…? これも言ってくれ?!
ん〜しょうがないな〜…
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
次に、この小説に恋愛要素入れたい?
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
急だね?!
どうしたの?

アンケート

恋愛要素入れたい?
参加者だけ入れたい!
33%
主のキャラだけで…
0%
どっちも入れちゃお〜!
67%
投票数: 3票
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
いや…なんか急に台本追加されて…
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
それは災難だったね…
_冷泉 縁@れいぜい ゆかり_
冷泉 縁れいぜい ゆかり
まぁまぁてな感じで、次のお話から参加者様のキャラをざぶざぶ出してゆくつもりなので、お楽しみに!
_白瀬 星@しらせ ひかり_
白瀬 星しらせ ひかり
とゆーことで、さいならー!!

プリ小説オーディオドラマ