⚠️暴力、グロ表現があります。ご注意ください!
そんなことがあってから、数日後の昼休みのこと。
俺は、あいつらに呼び出された。
呼び出されて連れていかれた先は、人気の少ない棟の空き教室。
昔、もっと生徒数が多かった頃は、この棟や教室も多くの生徒や先生が出入りしていたらしいけれど、今はもう使われておらず、少しの寂しさが残っているだけだ。
そんな教室の中、俺は壁際へと立たされていた。
周囲を取り囲むように立っているのは、俺を連れてきた奴ら。
もう、奴らの目的は分かりきっていた。
パァン!
まず、頬を平手で1発、叩かれる。
……痛い。
そう言う奴らの目には、俺に対する確かな侮蔑と憎悪の感情が宿っていた。
奴らはそう言うと、今度は俺の腹を蹴りあげる。
ドカッと音がして、一瞬息が詰まる。開かれた俺の口からは吐瀉物が漏れる。
床に這い蹲る俺を見て愉快そうに笑う奴ら。
そのうち、奴らのひとりが俺の前で屈み、俺の顔を持ち上げて覗き込む。
俺の口に、鉄のような味が入り込んでくる。
え…?あぁ、そうか。さっき殴られた時に…
俺の前に、また別の1人が近づいてくる。
それと同時に、意識が遠のいていく。
あ………やばいかも……
誰か………
助け……
て………………
バンッ!
扉を開ける音と共に、誰かが飛び込んでくる。
それに驚いて、遠のきかけていた意識が戻る。
一斉に、扉の方へ皆の視線が向けられる。
そこにいたのは…
驚きながら俺から離れる奴らを、瑠久は睨みつける。
瑠久は、冷たい視線を奴らに向ける。
ゆっくりと周囲に視線を巡らせる瑠久。
口ごもる奴らに背を向け、瑠久は後ろを振り返る。
そのあと、瑠久に連れてこられたらしい先生が、教室へと入ってきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!