・咲希視点・
私は気づけばホールに来ていた。
もうどこにいたらいいか分からない私は、なんとなく生きていた。
いっちゃんに生かされたこの命。
簡単に捨てられない。
でも、だからといって誰と組めばいいかわからない。
こはねちゃん達も怪しい。
かといって、寧々ちゃん達だって怪しい。
その時だった。
ガチャンと音がして、ホールの扉が開いた。
私はビクッと肩を揺らして舞台袖へと隠れた。
そこにいたのは─
こはねちゃん、ただ一人だった。
…そう思った瞬間、後ろから杏ちゃんや遥ちゃんが出てくるのが見えた。
そう声をかけられたこはねちゃんは、なぜか顔を強ばらせてつぶやいた。
こはねちゃんは杏ちゃんに抱きしめられる。
その小動物のような背中には、杏ちゃんの…いや、何者かわからないようなするどい爪が突き刺さりかけていた。
その言葉にこはねちゃんは黙り込む。
そんな少女を杏ちゃん達は「あれれ〜?」とあざ笑う。
そんな二人の悲しげな顔に私は心がキュッと縮まった。
…でも、きっとあの二人は…
そう思った瞬間、杏ちゃんがこはねちゃんに向けて差し伸べた手を、小さな少女は思いきり払った。
ペシン…と乾いた音が鳴り響く。
そう言ってこはねちゃんは二人を睨みつけた。
その言葉に二人は後ずさる。
なぜか杏ちゃんからは機械音がする。
それに、何か…様子がおかしい。
不審に思ったのか、遥ちゃんが杏ちゃんの頬を撫でる。
すると、突然杏ちゃんはその頬にある手を掴み、噛んだ。
遥ちゃんの手からは少量の血が落ちる。
杏ちゃんは遥ちゃんに構わずこはねちゃんを真っ直ぐ見た。
こはねちゃんは強ばった表情…だったが、それを見た瞬間少しほっとした様な表情になっていた。
そしてまた杏ちゃんは黙る。
すると、ガチャンっと音がして、またホールの扉が開いた。
そこにいたのは寧々ちゃん達。
急いで駆けつけたのか、息が荒い。
杏ちゃんがそう名前を呼ぶ。
彼はわかっているのか、逃げる体勢になっていく。
涙を流しながら、杏ちゃんはつぶやいた。
そしてガクッと項垂れる杏ちゃん。
みんなが駆け寄るが、もう顔を上げた時には杏ちゃんじゃないことがすぐわかった。
満面の笑みで「みんなどうしたのー?」と楽しそうにしているのだ。
こはねちゃんは泣き、遥ちゃんは無言。
ホール内には沈黙が流れる。
私はいつまでもここに居ちゃダメだと思い、舞台袖から出た。
私が出ていくと、みんなは驚いた表情でこちらを見た。
悟った遥ちゃんがそうつぶやく。
私はその言葉に俯いた。
寧々ちゃんはそう言って閉まり切っていたホールの扉を開けた。
寒い空気がホール内にまた入ってくる。
私達はみんなホールから出て各自部屋に戻った。
投票まで、昼食まであと30分。
もうすぐ終わる。
もうすぐ、この地獄が─
・寧々視点・
さっき起こっていたいざこざを解決できないまま結局部屋に戻ってきてしまった。
白石さんのあの姿。
そして桐谷さんの驚き様。
小豆沢さんの悲しげな表情。
もう誰も殺したくないし死ぬ姿も見たくない。
投票なんて間違ってる。
死ぬなんて、こんなゲーム…
はじめっから間違ってたんだ。
こんなゲーム、命懸けでするものじゃない。
ゲームは殺すためにあるわけじゃない。
楽しむために、
絆を深めるためにあるんだ。
私はそう思って拳をぎゅっと握る。
そう心で唱えて、ベッドに1人横になった。
・彰人視点・
あと30分。
30分で確実にゲームは終わる。
かといって、俺らが終わってもこの不幸の連鎖は続くのか…?
そんなことを考えてしまう。
そんなの嫌だ。怖い。
もうこんな想いはみんなが経験したくない。
早く、早くこのゲームを、セカイを壊さなきゃ…
そこまで考えて、あることを思い出した。
・絵名視点・
私は一人部屋で時計を見つめていた。
残り30分。
あと少しできっとニーゴや他のみんなを助けられる。
怖いよね、苦しいよね
待っててねみんな。
私だけが入れなかった…たぶん人狼の…想いのセカイ。
すっごく暗くて息が詰まるような場所らしい。
あのセカイ、今はもう消えたんだよね。
そこまで考えてあることを思い出す。
ここに来た時、どうしてた?
今日で一週間は経つ。
でも─
私達がここに来たばかりの時、なんて言った?
何があった?
確か、あの日は曲の最終確認の日で。
先にセカイにいた瑞希が突然ナイトコードでそんなこと言い出したんだっけ。
真っ先に奏が様子見にセカイに向かって。
でも、時間経っても帰ってこなくて。
私は自分の割り当て部分を直してからセカイへ向かったんだ。
まふゆがそう言ったから先に私がセカイに行った。
多分まふゆもその後すぐにセカイに来てくれたんだろう。
私があの日あの時みたセカイは…
真っ暗闇で、ただ暗くて 想いの欠片達が沢山ちらばってて…
ミク達がいなくて、瑞希も奏もみんな─
セカイが崩壊して私たちは気づけばここに!!
なら今セカイは?!
どうなっているのだろう。
確認もできない。
─やっぱり、ゲームを終わらすしか、道は、…
無いんだ。
・こはね視点・
杏ちゃんはやっぱり人狼だ。
杏ちゃんがいつもの杏ちゃんじゃないって分かったのは初めから。
はじめの方で少しおかしいな、なんて思ってた。
でも、杏ちゃんじゃなければこれは誰?
そう思って信じ続けてきた。
でも、でも…
やっぱり杏ちゃんは違ったんだね。
杏ちゃんじゃなかったんだね。
なら─
私は11時30分を指す時計を見つめてそうつぶやいた。
・遥視点・
あと30分も経てば戦場かあ。
私はそうつぶやいてスマホを見つめる。
画面の中で動く真っ黒なワンピースを纏うミクは悲しそうに顔を歪めた。
私はあることを思い出して胸が痛くなる。
でも構わずにミクは続けた。
その言葉に小さく首を縦に振った。
嫌いなわけない。
みのりやMOREMOREJUMP! のみんなは大切。
大好きに決まってる。
だからこそ、私はこのミクの話にのった。
セカイを崩壊させて、わざわざこのセカイに転送。
デスゲームを始めるのを手伝った。
ミクはそう言ってニコニコと笑う。
その笑顔は恐怖でしかない。
ミクはそのまま続ける。
私を見つめて。
恐怖に陥れた、そのひとみで。
私はその言葉に顔を歪めるのだった。
あとがき
…急展開
これは、、最終回が…見逃せません、よね!!
たぶんここからなんか言ったらネタバレしそうなのでやめときます!!
来週月曜にたぶんだします!
でももしかすれば明日、、出せたら出す…かも?(100%出さないやつ)
ま、次回までぜひお付き合い下さい!
この物語は完結後、人狼の1週間を書いたあと終わります。
ワンチャン番外編乗せます
でも完結後、また新しいプロセカデスゲーム(続き)系統だします!
リクエストいただいたパロで作っていきます!!
プロセカキャラ達のまたまたデスゲームに巻き込まれる世界線ほんとにすごい!!笑
てことで!
プロセカデスゲーム第2幕もお楽しみに!






















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。