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第2話

電車。
614
2017/10/08 17:34
私達はいつもの電車に乗った。
隆弘
今日も乗れないか~笑 ちぇっ
隆弘はくやしい~!と言いたげな顔をする。
でも、座りたいとか言うくせにお年寄りや妊婦さん、小さい子、怪我してる人を見つけるとすぐどうにかして座らせてあげる。
あんがいとてもいいヤツ。
ふと、隆弘の後ろの方を見るとベビーカーに乗った赤ちゃんが目に入った。
(か、かわいい...)
赤ちゃんは自分のこぶしを見つめ、そのまま口に突っ込んだ。
あなた

ふふっ

思わず笑ってしまう。
隆弘
え?なになに?
隆弘が後ろを振り向こうとした。
キーッッ
車掌
ただいま人身事故が発生いたしました。
状況を確認しているためもうしばらくお待ちください。
私はそれどころじゃない。
今、隆弘にいわゆる壁ドンわされている状況。
隆弘
びっくりしたね、笑
隆弘は苦笑いをする。
あなた

あ、うん、そうだね、

私は気が動転して上手く喋れない。
隆弘
退いてあげたいのはやまやまなんだけど、誰かに寄りかかられてるんだよね笑 もう少し我慢して?
隆弘の肩越しに車内を見ると結構人が乗っていた。
そして、知らないおじさんが隆弘の背中にがっつり寄りかかっている。
あなた

大丈夫。w

私も苦笑いをする。
隆弘
重い~
重がっている姿までもかわいい。



隆弘の息が少し耳元にかかる。
さっきっからドキドキが止まらない。
チラッと隆弘を見ると、目が合った。
あなた

なに、笑

隆弘
俺ら今めっちゃ顔近い
誰が見ても分かるようなことを言ってる。
あなた

知ってるよ笑

隆弘
なんか、笑っちゃうね
満面の笑みを浮かべる隆弘。
なんで貴方はそんなに可愛いの。
あなた

そうだね、もうっ少し静かにしてよ笑

間近で喋られると私の心臓がもたない。
隆弘
じゃああなたも俺の顔見つめないで
あなた

え、

隆弘
バレバレだから笑
そんなに見てたかな、
あなた

別に見てない

相変わらず見え透いた嘘をつく私。
私はわざとらしく顔を背ける。
隆弘
あっやっぱりさっきの撤回
あなた

は、?

隆弘
俺があなたの顔見えなかった~~
ぶにっと私の顔をつまんで自分の方へ向ける。
あなた

何言ってんの、

隆弘
やっぱ動き出さなくていっか、電車
ニコニコと私を見てくる。
あなた

あーー、早く電車動けーーー

隆弘
えー、ちょっと
もう自分大嫌い。
いつもあまのじゃくな事を言ってしまう。
お願い、神様。
1分、いや1秒でもいいので
もう少しこのままでいさせてください。

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