手が離れると、彼の瞳は真っ直ぐこちらを貫いていた。
「行かせてもらえなかった」のほうが正しいんじゃないだろうか。
彼の柔らかな笑顔を見ながら、そんなことを考えた。
冷たいような温かいような風が吹く。
彼の髪が、ふわりと揺れて舞う。
マリオネットのように糸に吊るされたような格好をして、彼はうつむいた。
そのまま、彼は語る。
彼は立ち上がるフリをして地面に倒れ込み、腕を振りあげた。
地面を叩く鈍い音が響いて、彼は立ち上がりまた回り出す。
クルクルクルクルと。
冷たい瞳。
彼のその無機質な瞳には、なんの感情も乗っていなかった。
淡々と、意味もなくそこにあるだけだった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。