子供の頃の話だ。
かなり昔のことなので詳しくは思い出せないが、先生や銀時達と道を歩いていた。
先生が前を歩き、俺と高杉がその後ろ、銀時が一番後ろを歩いていた。
その日は前日の雨で、道にはたくさんの水溜まりが出来ていた。
後ろから叫び声が聞こえた。
俺達が振り向くと、後ろの銀時が水溜まりに片足を大きく潜らせていた。
少なくとも膝までは潜っていたと思う。
慌てて駆け寄った俺達が銀時の肩や腕を支え、なんとか転ばずにすんだ。
銀時は助けを借りて足を水溜まりから引き出したが、皆納得がいかない。
なぜなら、その水溜まりは全く深くないからだ。深くてもせいぜい数cmであろう。
高杉がおそるおそる水溜りに足を入れてみたが、草履の裏が水に浸かるくらいで、どこを踏んでも深いところは無い。
俺も試してみたが、とても膝まで浸かるような深さではなかった。
はまった銀時の足は、水に濡れてはいたが、泥は草履の裏についていただけであった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。