――――――――――山倉秀(やまくらしゅう)
「「ありがとうございました!!」」
みんなで一緒に頭を下げる。
1番寂しいけど、1番達成感のある瞬間だ。
ライブ終わりの楽屋は楽しい。
みんなライブ中の緊張感から解かれ、
自由にそれぞれの事をし始める。
シャワーに行く人。テレビを見る人。
おしゃべりする人。携帯をいじる人。
秀「みんなお疲れ様~僕、用事あるから先帰るね。」
みんなが口々にお疲れと言ってくれる。
また明日もライブだ、気を引き締めて行こう。
でも、今はこれからの事で胸がいっぱいだ。
僕には恋人がいる。
アイドルに恋人なんて多分許されない関係。
周りから見たら少し変わった愛の形。
愛してるかと言われれば即答えられる。
「愛してる」と。
相手からも愛されてる自信はある。
今日はライブにも来てくれた。
たくさんのファンの人の中から見つけ出すことは
出来なかったけど、
ライブ会場を出てすぐ近くのコンビニで、
前髪をオレンジ色のゴムで留めた人、
つまり僕の恋人を見つけた。
"彼"の名前は佐藤侯(さとうこう)
秀「侯!お待たせ。」
万遍の笑みで僕は侯に近づく。
侯も万遍の笑みで僕を待つ。
そして今日も帰る、同じ部屋へと
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。