苛立ちを隠せないのか、イライラしているのが口調に出てしまっている遥。
あれ?
想像をするだけでも顔が赤くなってしまう。
はっ、何を言ってるんだ私!
遥は友達、友達…。
遥と岩田先生が目の前で火花を散らしている。
私も、決着…付けないと。
私はそうはっきり言い、遥に抱かれていた腕を解いた。
私が決めた決断…それは。
今まで私の心を支えてくれた先生…。
だけど、もう…私の心には先生の入るスペースが無くて、代わりに____。
先生には、悪いけど…。
遥の方が、私にとってもっともっと大切な人…だから。
そう言い、背伸びをする岩田先生。
でも、その顔は憎んでいるような顔ではなく…本当に、とても晴れ晴れとした顔だった。
遥はそう言い私の手を引きながら化学準備室を後にする前に…。
口調は少し元に戻ったが、言い終わった後に……わざとらしく舌を出して先生に挑発を遥はしていた。
岩田先生はそう言いにやにやしていた。
そう言い残して私達は化学準備室を後にした。
それにしても…。
遥って…Sに目覚めたのかな?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!