授業が終わってから、実莉ちゃんが話し掛けてきた。
分かってはいた。
それだけで終わってくれればいいんだけど。
ひな子ちゃんがあれだけ言われてれば、私も気にする。
私が言えることはそれだけだった。
でも、麻生ちゃんはそれで納得しないと思う。
私の気持ちは誰も知らない。
だから辛い。
情報の授業中も、私と馬渕くんの二人で話していても、麻生ちゃんが割り込んできたりする。
しかたない、と思っていても毎回割り込んでこられるとこっちもイラッとする。
休み時間も麻生ちゃんと馬渕くんをくっつける話で持ち切り。
そのたび私は逃げるけど、それも怪しまれそうで最近は逃げることもできなくなっていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!