第20話

「可愛くて」
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2017/11/13 09:00
翌日の土曜日。――デート前日。

午前練を終えていつも通りファリマへ行き、綾斗さんと話す。今日は店員さんが少なくて休憩は取れないらしく、お客さんがいない間だけレジのところで話すことになった。

なんて言うけど、ここは近くにスーパーがあるのであまり人が来なくて、ほぼずっと話してる状態。嬉しいけど、潰れちゃわないか心配だ。

「じゃあ、映画でも行こうか」

「うん!何観る?」

「んー……僕はホラー映画とか好きだけど、女の子は苦手だよね」

「う、ちょっ……と無理かな」

「あはは」

楽しそうに綾斗さんが笑う。

この一週間で知れたことは、よく笑う人だってことと。

「でも僕、ホラー以外全然観ないんだよね。だから正直他のジャンルは考えられないっていうか……どうしよう、ホラー観れる?」

「えっ、あ、が、がんば……ぅ、でもやっぱり最後まで観れる自信ない……。ごめん……」

しゅんとすると、綾斗さんが抑え切れないという風に吹き出した。

……またからかった!!

「もー、綾斗さん!」

「ごめん、落ち込むあなたちゃんが可愛くて」

このように――Sっ気のある人だってことだ。

あと、すぐ「可愛い」って言う。綾斗さんは特に意識してないのかもしれないけど、私はいつもドキドキさせられている。

年上の余裕ってやつ?悔しい……。

その時、来客メロディが鳴って、私はレジから離れた。

時間は……もうちょっと大丈夫かな。今来た人がいなくなって、もう一回綾斗さんと話したら帰ろう。

そう決めて、適当に商品棚の物を眺めながら通路をのんびり歩く。


――不意に、右手首をがしっと掴まれた。

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