第2話

夢の中の男の子(1)
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2017/11/28 11:40
あなたは大学2年生。
午前の授業を終えて小学校からの友人である三島紗矢(みしまさや)と食堂に昼食を食べに来た。
あなた

最近、夢を見るんだよね。

紗矢
ふぅん、どんな夢なの?
ふと最近見る夢のことを思い出して、紗矢に話すことにした。
あなた

そこがどこなのかは分からないのだけど、必ず泣きじゃくる男の子が出てくるの。

紗矢
それで?
あなた

それで、どうしたらいいかわからないから、とりあえず頭を撫でるけど、強い風が吹いて気づいたときには男の子は消えてるの。

紗矢
…最近、身内とか知り合いの中で男の子が亡くなったとかは?
あなた

いや、それはない。

紗矢
んー、じゃあ、どこかから連れて来ちゃったとか。
あなた

そんな怖いこと言わないでよ。

紗矢
えー、でもそういう心霊の類しか考えられなくない?
あなた

そうかなあ。

いつもは2人とも食べることに集中してあまり喋らないけれど、今日は違った。
紗矢
どんな男の子なの?
髪形は?服装は?
日本人?外国人?
あなた

え、ちょっ、ちょっとまって!

突然の質問責めにあなたはむせそうになる。
胸を軽くたたいて呼吸を落ち着かせ、昨日の夢を思い返し始めた。
あなた

…日本人だったね。
5歳くらいの男の子で、さらさらの黒髪が印象的だったなぁ。
服装は…よく覚えてないや。

すると紗矢は、なにやら考え込み始めた。
紗矢
さらさらの黒髪…。
なんか、そんな感じの子、昔いなかった?
あなた

さらさらは置いとくにしても、日本人のほとんどが黒髪じゃない?

あなたは紗矢の天然な発言に笑い出しそうになるのを堪えた。
しかし、口元はどうしても緩んでしまう。
紗矢も少し恥ずかしそうに笑った。
紗矢
そっか…そうだよね。
よくよく考えてみればそうだね。
2人で顔を見合わせて笑った。

この時はまだ、夢のことをあまり深くは考えていなかった。

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