3人それぞれ言いたいことを言うと、やがて開始のゴングが鳴った。
それぞれの魔法、兵装のマナがぶつかりステージに大きな亀裂が入る。
ぴし………ぴし……
悲鳴をあげるステージには目もくれず、3人はただ友人-今は【敵】(ライバル)の顔を見ていた。
バゴオォォォッ!!!
レグジェが攻撃を仕掛けるような素振りを見せた途端ステージは壊滅、3人は上空へ飛び立った。
レグジェは『蜃気楼の秘石』(ミラージュフェイト)を発動させ姿を消した。
『蜃気楼の秘石』-ティフォですら使用者の場所を特定出来なくさせる幻惑。応用させれば低級協力幻惑術『幽霧』(ソウルミスト)よりも強力な技に発展させられる。
【霊撃】(ソウルバースト)-魔法生命体特有の魔術。生命力を砲撃に変えるそれは人間なら1000人程は余裕で殺せる威力らしい。…各生命体の保有する生命力にもよるのだが。
そのとき、一瞬空間がよじれ-重力を失った。
それによりレグジェの『蜃気楼の秘石』は強制解除、ティフォもデータ修正を行うなどによる一時的な【殺戮体制】の強制解除をされた。
魔神位階序列-闇に適応する魔力量によってその順位が定まる仕組み。
そのため実力を完全無視した適応性重視の序列となっている。
そのためレグジェのような、本当なら2位に上り詰めてもおかしくないような実力を持つ【聖魔神】レグジェも、闇に適応する魔力量が他のどの魔神よりも極端に少ないことから最下位になっている。
軽く絶望しながらレグジェは理解した。
だからあたしは最下位にして最強なのかと。
-理不尽にも程がある。というか-
レグジェの、咆哮とも言えるような『ド正論』(クレーム)で周囲の魔力が一瞬にして消えた。いや、正確には-『一瞬でレグジェが莫大な量の魔力を吸収した』のだ。
魔力が一時的に消えたことにより完全魔法生命体のフリューレはがくりと膝をつく。-力が入らないのだ。
半機械半生命体のティフォは辛うじてその兵装を保っていた。
魔力のない空間で魔力を少しでも使う技は効かない。
ティフォはスリープモードに、フリューレは魔法で出来た体が透け始めようとしていた。
-
どうしてと問われれば。
それは生命体の特徴とでも答えるべきなのだろう。
魔法生命体ならば、命の源はひとつの複雑な術式だ。
半機械半生命体ならば、生命体としての命を保つための簡略化された機械式で編纂された魔術が源となる。
何本目かわからない優勝トロフィーを宙に浮かしながらレグジェは感心しながら聞く。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。