第11話

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2017/11/11 06:35



唇が離されたときにはすでに、“そういう”気分にさせられてしまっていた。




「…侑介(ユウスケ)」


車の中で教えて貰った名前を囁いてみると、男はふっと笑って私の首元に顔を埋めた。

ダウンライトをぼんやりと眺めていると、何故か廉の姿が浮かぶ。

こんな自分を、彼は軽蔑するだろうか。


…もう、関係のない話だけど。



「…ん、や…ぁ…ッ」


首に優しく口づけられ、擽ったさに思わず身じろいだ。

薄らと目を開けると、煩わしそうにブラウスのボタンを外していく姿が見え、羞恥心が芽生えた。


「…ぼんやりしてんなよ」

「え…?」

「ちゃんと、こっちに集中してろ」

「あッ…!待って…」


肌着の裾から這入ってきた骨ばった手に、カッと顔が熱くなる。

涼しい顔をした男は「待たない」とだけ言って、下着の縁を指で持ち上げた。






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