控室は、さっきの駅ナカのコンビニ前でわいわいしていたときの雰囲気とは真逆だった。たくさん並べられた長机と椅子。すでに半分は出場者で埋め尽くされているのにさらに続々と入ってくる。
緊張感あふれる、ピリピリした空気。誰かが騒いだら、みんなに睨まれて、下手をすれば追い出されるかもしれない――――そんな雰囲気だ。
それに圧倒されていると、部長さんが声をかけてくれた。
そこは長机の赤いテープが貼られている枠の中だ。ちょうど4人分の席のところで赤いテープで区切られていた。長机には学校名を書いた札がおいてある。
私達はカバンから問題集を取り出して、復習を始めた。もう、栗本くんも流川くんも、完璧に大会モード。目の色が変わっている。私も置いていかれまいと気持ちを切り替えた。
***
お昼の時間をはさみ、もう第2グループの人たちが会場に移ってからしばらく経った頃になった。もうすぐ、私達の番。
時事問題も抑えた。電車も、ある程度抑えた。歴史は、昔からばっちり。苦手だった理科も、みんなで頑張ってきたし、日本文化関連も、数学用語も、なんでも。クイズにでそうなものは、頭に詰め込んできた。復習も終わった。
そう、私達はここまで頑張ったんだ。
係の人に呼ばれて、私達は机に広がっていた問題集を片付けた。そして、控室を出て隣の会場へうつる。
そこでは3校がすでに席についていた。部長さんは、私達出場者が座る席から離れたところにある付添人の席に座った。ちょうどいいことに、その席は私達の学校の席の向かいにあった。そこから、私達のクイズの様子を見るのだ。
私達が席について割とすぐに言われたのは、対戦者発表。どこの学校も、強そうだ。聞いたことのある学校もある。自信を失いかけた時。部長さんが、大きく頷いてくれた。それは、大丈夫、安心して、という部長さんからのメッセージに違いなかった。
大会、という現実が、ひたひたと近づいてきている。もうそれは、すぐそこまで。
この問題はきっと、非常口のマークの人の名前を聞いているのだろう。でも、そんなものただの人の絵、名前などあるわけないと思っていたのに、ボタンが押された。
なぜ名前があるのかわからない。そんなものに名前などいらない。それなら、問題にするな。そう思っていると段々、怒りがこみ上げて来た。しかし、問読みの言葉で、気持ちを切り替えた。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!