第3話

encounter No.1
269
2020/11/17 12:36
日が出てきた。
明るくなったとともに、私は目を覚ました。
夜明け、つまり起床時刻だ。
暁(なまえ)
暁あなた
おはようございます
私は屋敷の中央にある『奉り』と呼ばれる部分に向かい頭を下げた。
そしてそのままそとに出て川の水で顔を洗い、正装に着替える。
今日は十日、『厄祓いの日』だ。
九時から十二時間、祷りを捧げ続けなければならない。
なので、学校も休む。ご飯も食べない。
暁(なまえ)
暁あなた
…今日は大変ですね
毎月十日、仕方がないと言えば仕方がないのだが。
暁(なまえ)
暁あなた
(次の日の授業が大変になるんだよなぁ…)
でもまあ、慣れてしまえば何でもない。
人生でもう二百回以上やってきているのだ。
そう、これが
少女・あかつきあなたの日常だ。



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名家暁家では、仕来りを非常に重んじている。
今日のように毎月十日は祷りを捧げたり、
結婚時の挨拶にだって仕来りがある。
そして、『特別扱い』される者も当然いた。
私もその一人だ。



































私は、『呪いの子』だ。
大災害や、邪気を放つとされる『呪いの子』。
その多くは名家や、大家、旧家と呼ばれるような古くからある由緒正しき家柄に、
何十年に一回というペースで生まれる、不可思議な存在。
私はそんな『呪いの子』として生を受けた。
暁(なまえ)
暁あなた
と言っても、母屋から離れたところで静かに暮らすだけの
暁(なまえ)
暁あなた
ただの置物とおなじなのですが
…あれ?私は何に向かって話したんだろう?
まあいいや、と私は思った。
それに、あと10分ほどで九時だ。
『祷りの舞い』が始まる。
一秒でも遅れれば、神が私のことを殺す。
そんなものは迷信だ、と思うこともあったが、
それもどうでもよくなった今、私には気になることもない。
暁(なまえ)
暁あなた
…はあ
私はため息をつくと、舞の部屋に入り集中を始め…
???
お?ここじゃね?
???
あーいますよ、女の子
暁(なまえ)
暁あなた
!?
ようとしたそのとき。
何者かが私の家に侵入してきた。
その時、私は唐突に、





















『逃げなくては』と思った。
私は立ち上がるとどこかへ向かって走った。
どこに向かっているかも分からなかったけど
とにかく、逃げられるなら何でも良かった。
???
おりょ?なんか走って逃げてますよ
???
え?マジ?
暁(なまえ)
暁あなた
(何で分かるの!?)
混乱しすぎて、最早なにか冷静だった。
私の家に入ってくるのは、お父様とお母様だけだった。
知らない人が、何でここに?
暁(なまえ)
暁あなた
(疑問なんて捨てて逃げなきゃ!)
本能赴くままに逃げていた。
暁(なまえ)
暁あなた
いたっ!
???
うわ!
しかし、そこまで広くない家をずっと追いかけっこするなんて、もとから無理なわけで。
暁(なまえ)
暁あなた
え…あ、の………
???
ふーん…君が
暁(なまえ)
暁あなた
君が…?
あんなに混乱していたはずなのに、話してみると意外と冷静に話せて。
もう全てに驚いていた。
???
あれ?そらるさん、もう見つけたの?なんか意外~
そらると呼ばれた青髪の人は、少し顔をしかめると
そらる
そらる
うらたくん、うるさ
と言った。
その声は落ち着いていて、世間で言うイケボとおう部類にはいるのでは、と考えていた。
そらる
そらる
あと、へんなのつれてこないでよね
???
おい!
暁(なまえ)
暁あなた
あ、お、お父様…
うそ、でしょ?
私が時計をみると、とうに九時を回っていた。
何をしている!
そう言うとお父様は私の頬に拳を沈めた。
私は殴られて数秒息を止めると、すぐに床に頭を擦り付けた。
暁(なまえ)
暁あなた
大変申し訳ございません…
仕来りに従えとあれほど!
お前は何をしている!
そらる
そらる
へえ。あんた侵入者よりも仕来りを気にするんだな
そらる
そらる
面白い価値観だな
!?
えっと…そらるさん、様?
お、お前!たしか青木の家の……!
青木家…?
なんだか聞いたことのある名前のような。
そらる
そらる
お前
暁(なまえ)
暁あなた
そらる
そらる
おいお前!
暁(なまえ)
暁あなた
………あ、私でしょうか?
そらる
そらる
お前以外いないだろ
いえあの、指示語が多くてですね…
そらる
そらる
お前、この家でちゃんと生活できているのか?
暁(なまえ)
暁あなた
…いえ、あの、まあ、、、
そらる
そらる
歯切れ悪いな
分からないけど…
多分、生活はできていると思うんですが…
暁(なまえ)
暁あなた
常識…的かは分かりませんが
はあ!?
そらる
そらる
お前さ、俺のとこ来ない?
























…え?
暁(なまえ)
暁あなた
…はい!?
えええあえあえ?
は、へ、ふえ?
どどどどど、どういうなが…!
な、なななな何を言うんだよ!
ちょ、ま、つかこれどういう流…!?
お父様、ほんとそれです。
そらる
そらる
だって、お前つまんなさそうだし
暁(なまえ)
暁あなた
つまんなさそう?
そらる
そらる
なんか、退屈してそう
退、屈…?
そらる
そらる
あと、こちとらお前が必要なんよな…
暁(なまえ)
暁あなた
あの…
お前何言ってる!
行かないよな?
暁家の人間として!
そうだ。私は暁家の人間だ。
だから行くわけには…
???
てかこの期に及んで暁家出すのかよ…
???
クズだな
な!?
猪狩に震えるお父様。
暁(なまえ)
暁あなた
お、お父様…!
そらる
そらる
んで、お前は何がしたいの?
暁(なまえ)
暁あなた
え?
そらる
そらる
さっきからお前、なんも言ってないじゃん



















『あなたは、何がしたいの?』
そんなこと、久しぶりに言われた。
でも、分からない。
そんなの、分からない。
私にそんなことを言わないでほしい。
ならば…
暁(なまえ)
暁あなた
________
そらる
そらる
!?
暁(なまえ)
暁あなた
私は、それがしたいです
私がそう言うと、そらるさん様はビックリして目を丸くしたがニヤリと笑って手を差し出した。
そらる
そらる
お前、名前は?
暁(なまえ)
暁あなた
…暁、あなたです
そらる
そらる
へえ
言い名前してんじゃん
と彼は言うと、ふわぁとあくびした。































私はその人の手を、興味本位でとってしまった。



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作者・うん
作者・非情に語彙力がない。

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