「同じ高校行くヤツらで教え合うといいぞ。受験は団体戦だー」
担任の挨拶で今日1日が終わった。吐く息が白くなる12月。マフラーと手袋をして外に出るとふうちゃんが靴箱に立っていた。
「ふうちゃん、久しぶり」
人見知りの私だけど、ふうちゃんとは仲がいいから緊張することなく話しかけることが出来る。
「あなたちゃん、久しぶり」
相変わらずの可愛さで私に笑顔を見せてくれた。白いマフラーがよく似合っている。
「春樹くん待ってるの?」
聞かなくても分かっていたことだけどあえて聞いた。
「えへ、うん」
えへ、と照れるふうちゃんがこれまた可愛くて、もし私が男だったら好きになってるなと思う。
「多分もうすぐ来るよ。さっき元気くんと話してたから」
私の言葉に、うん、と頷いた。
家に着いて、自分の部屋に入った。椅子の上に体育座りをして膝を抱えた。
あんなに可愛い彼女がいて、奴は幸せものだな。私には奴の隣にはなれないんだなって改めて感じさせられた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!