それからは…
愛衣ちゃんの家に一人で向かおうとしたけど、
「またこういうことがあったら嫌だから」って送ってくれた。
修哉と「おやすみ」なんて会話をするのは…いつぶりかな。
…喧嘩する前も、夜は基本的に会わなかったから、「おやすみ」なんて交わさなかった。
…幸せだなぁ。
ふいにそんな感情が私の心を占めた。
…これが、愛する彼氏と最悪の別れをした彼女が思うことじゃないと思うけどね!!!
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ピーンポーン
急な訪問にドキドキしながら、インターホンを押した。
「はーい、今出ますー」
愛衣ちゃんの声だ。
この声を聞くと、安心する。
なんで…何かあったって分かったんだろ…。
そんな疑問は顔に出ていたらしく…
愛衣ちゃん曰く、
私が突然家を訪問する場合には、かならず何かある、だそうです…。
色々とツッコミたそうにしていた愛衣ちゃんだけど、私の雰囲気を読み取ってか、「了解」とだけ返事して、家にあげてくれた。
察しの良い彼女には、いつも感謝しかない。
部屋にあがり、落ち着いた所で今日あった事を細々と話すことにした。
あの光景は…いつ思い出しても、私の心を深く抉る。
???
どういう事だろう…。
浮気されたら別れるのっておかしいかな?
…本当は、考えてた。
私を溺愛してくれていた司は…浮気なんかしないって。
…そうだよね、私…逃げたんだ。
自分より他の女の子が愛されてたら…って思うと、怖くて見栄を張ることしか出来なかった。
私がここに来た理由は…
きっと、慰めてもらうためじゃない。
…どうすればいいのか分からなかった。
助言してほしかったんだ…。
なら、今すべきことは…
そう言って、急いで愛衣ちゃんの家を出た。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。