明るく可愛らしい声をし、黒髪で胸の下ほどまである長い髪を揺らしてこちらをニッコリと微笑んでいる。
それは紛れもなく、クラスメイトである高嶺の花の楓だった。
まだこの状況を理解出来ていない蒼太は、声を必死に絞り出し、頭をフル回転させ考える。
なぜ、楓が目の前にいるのか。
なぜ、自宅に。
なぜ、ここは2階なのに。
なぜ、そんなサンタみたいなフワフワな赤い服と赤い帽子に包まれているのか。
なぜ、ソリらしきものの上に乗っているのか。
なぜ、ソリに繋がれているトナカイらしき生き物もいるのか。
なぜ、浮かんでいるのか。
突然の発言に唖然としている蒼太を尻目に、
明るくケラケラ笑いながら楓は強引に蒼太を引っ張る。
蒼太は戸惑いながらも流れに流され、
思わず窓を乗り出しソリに乗ってしまう。
ポカンとしている蒼太に御構いもせず、
新たに蒼太を乗せたソリは楓が指した方向に進んでいく。
暫く大人しくして状況を理解しようとしていた蒼太だったが、
理解出来ずついに痺れを切らし叫んだ。
堂々と胸を張り、ドヤ顔でこちらを見る楓に思わずサンタなんているわけないだろっと言おうとしたが、
楓の服装と、浮かんでいるソリとトナカイが物語っていた。それは本当なんだと。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!