海辺では蔵馬と冬瓜がイチャついてるし、桑原と雪菜ちゃんもイイ感じだし、螢子達もイイ感じだし……
周りへの嫉妬心で血の涙を流しながら、桜は先にホテルへ戻ろうとしていた。
ズルっ
地面がぬかるんでいたことに気が付かずに、足を滑らせて横転してしまいそうになる。
そこには、尖った木の枝が数本落ちていた。
転んだはずなら、木の枝がどこかしらに刺さっているはず。なのに痛みはない。
目を開けると、
俺の、腕を掴んでいる、飛影が、いた、
飛影はこちらと目が合うと、パッと腕を離した。
ダメだ………
実物が、飛影が、めっっっちゃくちゃ近くにいる……
しかも、俺の腕を触ってくれた…………
感動に鼻血を流して飛影の後ろ姿を拝んでいると、彼が振り返って聞いてきた。
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森の中で、戸愚呂兄は少し不機嫌そうに鴉に問う。
鴉は、戸愚呂兄を置いて森から抜けた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。