第69話

57度
44
2024/05/15 10:21
みんないい雰囲気になってんなぁ………
チクショオォォォオ羨ましいいいいい
海辺では蔵馬と冬瓜がイチャついてるし、桑原と雪菜ちゃんもイイ感じだし、螢子達もイイ感じだし……
ぢぐじょおおお俺だってぇぇ飛影とぉおぉおお
周りへの嫉妬心で血の涙を流しながら、桜は先にホテルへ戻ろうとしていた。
ズルっ
!?
地面がぬかるんでいたことに気が付かずに、足を滑らせて横転してしまいそうになる。
そこには、尖った木の枝が数本落ちていた。
やっ!やばい……!
(このまま転んだら…!)
っっ!!!
………?
(痛くない……???)
転んだはずなら、木の枝がどこかしらに刺さっているはず。なのに痛みはない。
(あってか
俺そもそも実体じゃないんだから別に転んでも大丈夫だったよな…)
………え
目を開けると、
…………
………ひ!!!
飛影!!!????!!!??
俺の、腕を掴んでいる、飛影が、いた、
飛影
……
飛影はこちらと目が合うと、パッと腕を離した。
え!!ひ、飛影!!??
え、ありがとう!!!飛影!!!ありがとう!!飛影!!ありがとう!!
飛影
黙れ
えっ!あ!!ごめん!!
うん!!黙ります!!
ダメだ………
実物が、飛影が、めっっっちゃくちゃ近くにいる……
しかも、俺の腕を触ってくれた…………
(死にそう)
飛影
……おい、何突っ立ってるんだ
へっ?
感動に鼻血を流して飛影の後ろ姿を拝んでいると、彼が振り返って聞いてきた。
飛影
ホテルに戻るんだろ?早くしろ
…………
早くします。
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戸愚呂兄
おい鴉……
あの女を、なぜ返したんだ?
森の中で、戸愚呂兄は少し不機嫌そうに鴉に問う。
戸愚呂兄
まさか、情が移った、なんてことはないだろうな?
……どうだろうな。
鴉は、戸愚呂兄を置いて森から抜けた。
(…………)
(……楽しみだ)

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