しかしそれから 俺たちの距離は付かず離れずの関係のままだった。
高校三年生になり クラスは離れてしまったものの、“いつもの場所”が俺達の待ち合わせ場所になった。
彼女の笑顔はもう何度も目にしているが、未だに慣れることが出来ない。
どれだけ同じ時間を過ごしても、一緒にいるだけで 胸は高鳴り、苦しくなる。
俺は多分、幾度も彼女に恋をしているのだろう。
彼女のことを知れば知るほど 好きになる。
価値観の違いがない訳ではない。
でも その違いすらも、受け入れられるのだ。
手を差し出せば、照れたように笑って 繋いでくれる。
掌から伝わってくる体温を感じるだけで、心は満たされていく。
もっと触れたいという気持ちがないと言えば嘘になるが、今のままでも十分 幸せを感じられていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!