あれから、早1週間。
色々考えた。
たくさん、何度も何度も。
そして……私の結果は出た。
それを今から、先生に伝えに行く。
コンコン
私は軽くノックして入る。
それ待っていたかのようにクルッと椅子を向ける先生。
私は、大きくきいを吸い込んで言った。
あの日からの第一声がこれ。
先生は、一瞬驚いたような表情をしたのち、いつもと変わらぬ口調で言う。
今度は、本当に驚いている。
それから…少し怒ってるかな?
パンッと手を叩いてみせる。
先生は後半、黙って私の話を聞いていた。
きっと、私の意図を読み取っているだろう。
ごめんね、先生。
先生…本当はね?
莉世さんが、「離婚しようと思うの」っていう前から聞いてたの。
あの時…
莉世さんはこう言ったの。
ねぇ、先生。
知ってる?
先生が、ななちゃんを見る目は、完全にパパなんだよ。
あっという間に、こんなに大きくなったのか。とか、昔の時を懐かしむような感じ。
それに、前別れた時は、莉世さんから別れを切り出したけど、
まだ莉世さんは先生の事を好きかもしれない。
先生、ななちゃんと、莉世さんのためを思えば、私達は一緒に居ちゃいけない。
だから…
私は、泣くのをこらえ、ながら言う。
ゆっくりとドアを開け、廊下に出る。
そして、私は逃げるように走り出す。
ごめん、先生。
本当は大好きだよ。
でも、でも…。
ごめんね。
バイバイ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!